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第2章
62話 裕二の告白
しおりを挟む1人になった由希は裕二に電話し、いつものホテルで会う約束をした。
「由希さんから誘われるなんて嬉しいなぁ~」
「それより、あなたの会社そんなに危ないの⁈」
「え…そっ…そうですけど…誰から聞いたんですか?」
「誰からでもいいでしょ!」
「…ご主人と話したんですね」
「そうよっ。あなたの会社買い取るつもりよ!」
「やっぱり俺の会社の事だったんですね」
「絶対ダメよ‼︎何としてでも買わせないで‼︎」
「由希さん、僕の会社の心配してくれてるんですね。嬉しいなぁ~」
「違うわっ。シュンがあなたの会社買い取ったら私とシュンは離婚する事になるのよ‼︎会長もそれで納得したのよ‼︎」
「そっ、そうなんですか?それはいけませんね…」
「あなたの会社も奥さんもシュンに奪われるのよ!何でそんなに冷静なのよ‼︎」
「柳本グループを地曽田グループが買い取る事は出来ませんよ」
「えっ、どういう事⁈」
「由希さんのご主人が柳本グループに手を出せないのは確実です。その理由を明日会長にお話しするので安心して下さい」
「何よっ、教えてくれないの?」
「また改めてお話ししますよ。因みにもし買い取る事が出来なかったらご主人はどうするってですか?」
「その時は離婚しない。会長とも約束してた」
「そうですか。じゃあどっちにしてもご主人と妻は離れる事になりますよ」
「ほ…本当⁈」
「100%‼︎だから安心して下さい」
「あなたって本当…何というか…」
「何ですか?」
「頼もしいわ」
そして2人はベッドに行った。
翌日18時、裕二は地曽田グループの会長に会いに行った。
「失礼します」
「話があるって言ってたが…君の会社は経営危機らしいな。言っておくが助けないからな!」
「助けてもらうつもりはありません」
「じゃあ何だ?」
「地曽田社長はうちを買い取るつもりでしょうけどそれは不可能だという事をお伝えしに来ました」
「なっ…何でだ」
「その前に会長は息子さん夫婦を離婚させてもいいと思ってるんですか?」
「シュンは1人でもやって行けるってわかったからな。条件をクリアできたら離婚を認める」
「条件とは、私の会社を買い取ったらって事ですか?」
「、、、、」
「で、私の妻を受け入れるつもりですか?」
「君には悪いがシュンがそれで幸せなら…」
「はぁぁ~」
「…すまない」
「私は妻と離婚しませんよ」
「どうしてそこまで奥さんに執着するんだ?惨めじゃないのか?」
「亡き会長の遺言書に、会社は私に任せると書いてあったからです」
「君の父親だろ。そりゃあ息子に任せるだろ。奥さんは関係ないだろ」
「私は養子ですよ」
「え?どっ…どういう事だ⁈」
「柳本グループの創業者の息子は亡くなった会長で、その娘が私の妻なんですよ」
「なっ、何だと⁈」
「という事は…わかります?」
「その事、シュンは知らないんだな⁈」
「知らないから平気で柳本グループを潰す気なんですよ」
「じゃあ知ったら…」
「間違いなく手を出せないでしょうね~。だって愛する人の会社ですよ。潰すどころか奪った取引先も全て返すはずです」
「そんなっ…君の奥さんは何でシュンに話してないんだ⁈」
「さぁ…私も妻と全然話してないし、柳本グループの今の状況知らないんでしょう」
「シュンは君の会社だと思ってるから買い取るつもりでいるんだな‼︎」
「妻の大切な父親が私に会社を託してくれたんです。だから絶対に会社を潰す訳にはいかないんです」
「あいつの性格上、知ったら潰さないだろう。当然買い取る事もしない…って事は離婚は諦めて家に戻って来るはずだ。私と約束したからな」
「本来の形に戻るって事ですよ。地曽田社長も柳本グループを倒産寸前まで追い込んでおいて、妻の親の会社だと知ったらショックでそれなりの償いをするでしょう。そうなると地曽田社長はどこまで柳本グループにするかわかりませんが、地曽田グループはまた落ちていくと思います」
「結局、私と由希さんの助けが必要って事か」
「ですです。だから離婚はさせたらダメです」
「…シュンには私から話す」
「私から聞いたと言っても信じないと思いますよ」
「君の奥さんから聞くだろう。というか本当の話なんだろうな?」
「本当ですよ‼︎遺言書だって妻の実家に行けばありますので」
「…わかった」
「会社が経営危機って事が妻の母親の耳に入る前に地曽田社長に話して下さいよ」
「明日話す」
「よろしくお願いします」
話を終え裕二は会長の家を出た。
地曽田の奴…ショック受けるだろうな~
これで会社も今まで以上に上向きになってスミも戻って来る…
フフッ、いい気味だ…
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