61 / 102
第2章
61話 親子の取引き
しおりを挟むパーティーが終わった後、裕二はシュンに気付かれないように会長のところへ行った。
「あの…会長…」
「おっ…お前‼︎来てたのか⁈どうして⁈」
「えっ…それは…地曽田社長から招待状が届きましたので…」
「シュンが⁈あいつ何考えてるんだ‼︎それよりお前、よく顔出せたな‼︎うちの会社の物奪っておきながら‼︎」
「…すみませんっ…あの…それより会長に大事なお話があるんですが」
「何⁈大事な話だと⁈」
「明日お時間頂けませんか?伺いますので」
「何だ‼︎今言えないのか⁈」
「はい…明日お話しします」
「…じゃあ18時に来い」
「わかりました。それとこの事は社長には内緒にしておいて下さい」
「…ああ」
スミがあいつにまだ何も話してないようだから俺が教えてやるよ!
あいつに会社を奪われてたまるものか‼︎
後先なくなった裕二は全て会長に話す事にしたのだ。
関係者は全員帰り、地曽田家だけが会場に残った。
「父さん、少しいいですか?」
「何だ?」
「少し話したいんですが…」
「そうだな。たまには話そう」
「私とは⁈久しぶりに会ったのに‼︎」
「由希も一緒に来て」
3人はホテルの一室に入った。
「いや~それにしてもさすが俺の息子だ。取引先もあそこまで増えたとはな~。よくやった‼︎」
「柳本グループから奪い取っただけです」
「そういえば会社を買い取るって言ってたが…」
「はい。柳本グループの事です」
「そうなのか⁈でも柳本が許さないだろ」
「柳本グループは今、経営危機もいいとこです。破産するのも時間の問題です」
「そっ…そうなのか?」
「柳本グループを潰すと言ったでしょ」
「シュン‼︎さすがだ‼︎」
「父さん」
「何だ」
「柳本グループを買い取ったら…認めて下さい」
「何をだ?」
「離婚です」
「シュンっ‼︎何言ってるのよ‼︎」
「お前っ」
「父さんと由希に頼らずここまで来たんです。今後もそのつもりなので…」
「、、、、」
「シュン、離婚は絶対イヤよっ」
「父さんっ」
「柳本グループを買い取る自信はあるんだな?」
「あります」
「もし出来なかったら離婚は諦めるって事…でいいか?」
「はい。必ず買い取りますので」
「よっぽど自信があるんだな。わかった」
「お義父さんっ‼︎」
「ありがとうございます」
話を終えたシュンは部屋を出て行った。
「お義父さん!本気なんですか⁈シュンは本当に柳本グループを買い取りますよ!」
「今までシュンのことを甘く見ていた。あそこまで株も暴落して危ない状態からここまで立ち直らせたんだ…もう私と由希さんの助けは必要ないみたいだ」
「私はどうなるんですか⁈」
「シュンが別れたがってるんだ。シュンが柳本グループを買い取ったら、悪いが由希さんが折れてくれ…」
「そんな…」
そう言うと会長は由希を残し部屋を出て行った。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
【完結】もう一度やり直したいんです〜すれ違い契約夫婦は異国で再スタートする〜
四片霞彩
恋愛
「貴女の残りの命を私に下さい。貴女の命を有益に使います」
度重なる上司からのパワーハラスメントに耐え切れなくなった日向小春(ひなたこはる)が橋の上から身投げしようとした時、止めてくれたのは弁護士の若佐楓(わかさかえで)だった。
事情を知った楓に会社を訴えるように勧められるが、裁判費用が無い事を理由に小春は裁判を断り、再び身を投げようとする。
しかし追いかけてきた楓に再度止められると、裁判を無償で引き受ける条件として、契約結婚を提案されたのだった。
楓は所属している事務所の所長から、孫娘との結婚を勧められて困っており、 それを断る為にも、一時的に結婚してくれる相手が必要であった。
その代わり、もし小春が相手役を引き受けてくれるなら、裁判に必要な費用を貰わずに、無償で引き受けるとも。
ただ死ぬくらいなら、最後くらい、誰かの役に立ってから死のうと考えた小春は、楓と契約結婚をする事になったのだった。
その後、楓の結婚は回避するが、小春が会社を訴えた裁判は敗訴し、退職を余儀なくされた。
敗訴した事をきっかけに、裁判を引き受けてくれた楓との仲がすれ違うようになり、やがて国際弁護士になる為、楓は一人でニューヨークに旅立ったのだった。
それから、3年が経ったある日。
日本にいた小春の元に、突然楓から離婚届が送られてくる。
「私は若佐先生の事を何も知らない」
このまま離婚していいのか悩んだ小春は、荷物をまとめると、ニューヨーク行きの飛行機に乗る。
目的を果たした後も、契約結婚を解消しなかった楓の真意を知る為にもーー。
❄︎
※他サイトにも掲載しています。

あなたが居なくなった後
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。
まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。
朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。
乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。
会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。


アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる