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第2章
54話 卑怯なやり方
しおりを挟む翌日、会社に行ったシュンは専務の事を報告する為に会長に電話をかけた。
「…僕ですが」
「わかってる。何だ⁈」
「報告があるんですが」
「報告⁈私に報告などいらん。勝手にしろと言ったろ。それとも、もう助けて欲しいのか?」
「いえ…専務の事なので報告が必要だと思い、僕と話すのは嫌でしょうが電話致しました」
「専務の事?専務がどうした⁈」
「退職しました」
「え⁈退職しただと⁈どうしてだ⁈」
「それは会長が1番ご存知なんじゃないですか?」
「は⁈私は何も知らんぞ‼︎何を言ってる‼︎」
「そうですか。それでは失礼します」
電話を切った後、会長はすぐにでも会社に行きたかったが我慢していた。
しばらくすると秘書が入って来た。
「社長、AP社とQIグループの件ですが」
「何かわかった?」
「それが…」
「何?」
「柳本グループと取引きされています」
「柳本グループ⁈えっ、2社とも?」
「はい」
「何で急に2社とも…柳本グループと…」
「2社とも柳本グループと付き合いはなかったはずですし、何かおかしいですよね」
「うん…自分も調べてみるからまた何かわかったら教えて」
「わかりました。あの…それと…」
「どうした?」
「黒川専務…辞められたんですか…?」
「…うん」
「…そうですか」
「専務から可愛がられてたもんな…すまない」
「どうして社長が謝るんですか?早く代わりを見つけますので。それでは失礼します」
柳本グループ…一体どんな手を使ったんだ…
シュンはまさか会長と裕二が取引きしたなんて思いもしていなかった。
その頃、裕二は早速新たな取引先とアポを取り会っていた。
この日は合計3社と取引きが決まり、裕二が会社の社長室に戻ると専務が入って来た。
「お~専務、初仕事はどうでした?」
「まっ、まぁ…それより3社と会って来たんですか?」
「はい。3社ともこっちと取引きしましたよ」
「えっ、3社ともですか⁈」
「この調子だと全部奪えるんじゃないかな」
「一体どうやって…」
「聞きたいですか?」
「…はい」
「地曽田と私の妻のこと話して2人の写真を見せたんですよ」
「え…そんな事したんですか⁈」
「いや~この写真は使えますよ。話しただけじゃ何故かみんな信じてくれなくて、写真見せたら一発でした」
「社長…ちょっと酷すぎませんか?」
「どうしてですか?私はどんな手を使ってでも地曽田グループを潰しますよ」
こ…こんな人が社長なのか…
「専務のおかげですよ。資料持って来てくれたから…ありがとうございます」
「しっ…失礼します」
複雑な気持ちになった専務は社長室を出て行った。
専務…何か気に食わなさそうだったな…
お前が地曽田グループを裏切ってくれたおかげだよ…
地曽田!!これから見てろよ!
お前の会社はもうおしまいだ!!
裕二は上機嫌だった。
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