プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

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第1章

50話 決心

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部屋に戻ったシュンがスーツケースに荷物を詰め込んでいると由希が入ってきた。


「シ…シュン…何してるの?」

「…由希」


シュンは手を止めた。


「ごめん」

「何で謝るの?話って何?」

「…別れたい」

「え?なっ、何言ってるのよ‼︎」

「離婚したいんだ」

「そ、そんなの嫌よ‼︎」

「時間かかりそうだから、しばらく家を出るよ」

「家出るって…ダメよ‼︎そんな事したらお義父様が許さないわよっ」

「父さんは納得済みだよ」

「えっ…ま、まさか…そんな…」

「由希、俺は由希を幸せにしてあげる事が出来ない…今までもこれからも…」

「私はシュンさえ居れば幸せよ‼︎」

「今まで一緒に居て笑った事ある?」

「そ…それは」

「このままずっと一緒に居ても変わらない。もっと早く別れていれば由希ももっと楽しい人生送れてたと思う」

「それはシュンの考えでしょ。シュン…女がいるんでしょ」

「…その人と出会わなければ、俺と由希はこれからもズルズルと幸せを感じないまま形だけの夫婦だよ」

「否定しないのね‼︎」

「否定はしない」

「シュン!!」


シュンはスーツケースを持って出て行った。
由希は急いで会長の部屋に行った。


「お義父様‼︎シュンに出て行くように言ったんですか⁈言ってませんよね⁈」

「…もうあいつは行ったのか…」

「え?」

「しばらく家から離れるように言ったよ」

「どうしてですか⁈」

「今あいつに何言っても聞く耳持ちやしない。縛りつけても逆効果なだけだ。だからしばらく好き勝手にさせたらいい。そのうち頭下げて戻って来るさ」

「で…でも」

「あいつの力で会社を支えきれるはずがない。私と由希さんの力が必要になって必ず戻るよ。逆にいいチャンスだ。私たちの有り難みがよくわかるだろう」

「でもシュンは離婚したいって…」

「それは絶対させないから安心しなさい。だから由希さんもしばらくあいつを放っておいた方がいい」

「…わかりました」
  


その頃裕二はGPSの位置確認が出来ない事でイライラしていた。


クッソー!何で見れないんだよ‼︎
まだ電源入れてないのか⁈
それともあいつ、まだスミに携帯渡してないのか?
仕方ない…また後で確認しよう…
それにしてもどこのホテルに居るんだよ‼︎

すると裕二の携帯に由希から着信が入った。


「あっ…由希さん‼︎」

「今大丈夫?奥さん近くに居ない?」

「大丈夫ですよ」

「…主人、出て行ったわ」

「え?」


「あなた、上手くいくようにしてくれるって言ったじゃない。シュンに電話したんでしょ?」

「あっ…それが…あのっ…由希さん明日会えませんか?話したい事があります」

「え…今言ってよ‼︎」

「直接会って話したいから」

「…わかったわ」


電話を切ると裕二はテーブルをひっくり返した。


あいつ‼︎出て行ったのか!!
って事はスミとホテル生活を始めるって事か⁈
スミをしばらく貸すとは言ったけど一緒に生活していいとは言ってないぞ‼︎
クッソーッ!こうなったら早くあいつの会社を潰してやる!!


裕二は地曽田グループについて調べ始めた。








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