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第1章
49話 駆け引き
しおりを挟む会社に戻ったシュンは、箱根に行った事をなぜ裕二が知っていたのか気になっていた。
もしかしてあいつ…探偵つけたのか…?
そういえばあの時、尾行されてた…
でも途中で振り切ったし行き先が箱根だとわかるはずない…
シュンは裕二から渡されたスミの携帯を何気なく見ていた。
まさか…
シュンはスミの携帯の電源を入れアプリを調べるとGPSを見つけた。
そういう事か…
だからホテルの場所もわかったのか…
シュンは直ぐにアプリを削除した。
すると会長から電話が入った。
「もしもし…」
「今日帰ったら私の部屋に来なさい」
「…わかりました」
シュンは覚悟を決めた。
会長は部下から、裕二とシュンの会話を報告されていた。
19時過ぎに帰宅したシュンはそのまま会長の部屋に行った。
部屋に入ると会長は険しい顔をしていた。
「…失礼します」
「お前、今朝はどこに行ってた?」
「え?」
「あ…いやぁ…用があって会社に行ったらお前の姿がなかったから」
「尾行させてるみたいだから、どこに居たか知ってますよね?」
「お前、気づいてたのか⁈ったく…あいつは使えない奴だ」
「社員をそういう事で使うのはやめて下さい」
「…だがそれなら話は早い。お前、柳本の奥さんと一緒に居るのか⁈」
「…はい」
「お前‼︎何言ってるのかわかってるのか⁈嘘でも違うとは言えないのか」
「父さん‼︎彼女は柳本から暴力を受けてたんだよ!!」
「何だと?」
「俺のせいなんだ。俺のせいで彼女は…」
「だから責任感じてお前は…」
「違う。好きなんだ、彼女のことが…」
「お前っ、何言ってるかわかってるのか‼︎」
「家に帰したら次何されるかわからない…だから俺が彼女を守りたいんだ…」
「そんなの知るか、お前は関わるな‼︎それに由希さんがいるだろ‼︎由希さんが知ったら」
「由希とは別れる。今日話すつもりです」
「なっ、何言ってる‼︎そんなの許されない‼︎」
「由希が会社に関わってるから?」
「それは…」
「結婚させられた事、何度も後悔したよ。それでも努力してきたけど無理だって彼女に出会ってわかった…」
「そ…それでも離婚だけはダメだ‼︎会社はどうなる⁈」
「会社は何とか持ちこたえてみせるから」
「無理だ‼︎取引先だって…」
「取引先?」
「あ…いや何でもない。由希さんと離婚は絶対ダメだからな‼︎」
「…父さんは俺より会社が大事なんだよね」
「何っ」
「そんなのわかってた。だから今まで父さんの言う通りにしてきたけど…」
するとシュンは会長の前で土下座をした。
「お、お前何してる⁈」
「他の事なら何でも言う通りにする。だから…今回の事は目をつぶって下さい」
会長はしばらく黙り、深くため息をついた。
「絶対に会社を潰すなよ‼︎どんな事があっても」
「父さん、じゃあ…」
「勘違いをするな、離婚はダメだからな‼︎」
「そんなっ‼︎」
「しばらくお前はこの家に帰って来るな。どうせ彼女のとこに行くんだろ…いいだろう。しばらく彼女と一緒に居るがいい。そのうち由希さんの存在がどれだけ大事かって事がわかるだろう。そしたら会社の為にお前は必ず戻って来るだろうからな」
「、、、、」
「お前が目を覚まし頭を下げて来るまで、株価が暴落しても助けないからな」
何を言っても無理だと思ったシュンは会長の部屋を後にした。
会長は部下に電話をかけた。
「もう尾行の必要はない。バレやがって使えない奴だ。お前はもうクビだ」
シュンの奴、女に溺れやがって…
いいさ…しばらく楽しむがいい…
あいつは遊んでないからご褒美だ…
シュンを甘く見ている会長は必ず戻って来ると確信していた。
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