48 / 102
第1章
48話 裕二の秘密
しおりを挟むシュンが会社に着くと知らない電話番号から着信が入った。
「…もしもし」
「柳本です」
「え…どうして私の番号を…」
「そんなのどうでもいいでしょ。今から会えますか?」
「…はい。私もあなたに会いに行こうと思っていました」
「じゃ、俺の会社に1時間以内に来て下さい」
「わかりました」
シュンは柳本に会う為、柳本グループの社長室に行った。
シュンが社長室に入って行くと、尾行していた会長の部下が中の様子を伺っていた。
顔を合わせたシュンと裕二はお互いに怒りが込み上げて口論とになった。
「お前‼︎スミを連れて行っただろ‼︎」
「…はい」
「どうしてわかったんだ⁈…いやそんな事はどうでもいい。スミは今どこだ⁈」
「教える訳ないじゃないですか…」
「何だと⁈」
「あんた最低だよ‼︎女性をあそこまで殴って‼︎あと1日遅かったらスミは…」
「お前らが悪いんだ!箱根なんか一緒に行きやがって‼︎」
「だからって、やる事が異常だと思わないのか⁈」
「別に…お仕置きだからな」
「何⁈あなたみたいにイカれてる奴のとこにスミは行かせない!」
「はぁ⁈イカれてるだと⁈お前‼︎」
「やる事がイカれてるだろ!!」
「ただのお仕置きだろ‼︎」
シュンは怒りのあまり裕二の胸ぐらを掴んだ。
「何だよ、殴るのか、この泥棒が!」
「お前なんか殴る価値がない。心が腐ってる」
「何とでも言えよ。俺はスミと絶対に別れないしスミも親が出て来たら別れらない‼︎」
「なっ、何だよそれ‼︎」
「え?」
こいつ…スミの正体知らないんだな…
遺言書のことも…
なるほどね~こりゃ面白い…
「まぁいい。しばらくスミを貸してやるよ」
「何だと⁈」
「それとこれ、スミに返しといてくれ」
GPSが付いている事を思い出しスミの携帯をシュンに渡した。
「じゃ、スミを貸してる間は大事に扱えよ~」
そう言って裕二は机に戻ろうとした。
「…スミは」
「は?」
「スミは物じゃないんだよ!!」
怒りが限界に達したシュンは裕二を思い切り殴った。
「いってぇー‼︎何すんだよっ‼︎」
「スミがお前にされた事に比べたらこんなもんじゃ足りない…もしまたスミに何かしたら俺は黙っちゃいないから」
そう言うとシュンは出て行ってさた。
裕二は倒れ込んだまま床を殴りつけた。
クッソー‼︎地曽田!!
ふざけやがって!!
まぁいい…これでスミの居場所もわかるし…
スミは俺のとこに戻るしかないんだ…
俺たちは別れられないんだ…
俺が書いた遺言書のこともあるし…
裕二はスミの親の会社を自分の物にする為に、義父が遺した遺言書を書き直していたのだ。
裕二がシュンのことを嫌いな理由は、義父が書いた遺言書にも関係があったのだ。
1
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。

あなたが居なくなった後
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。
まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。
朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。
乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。
会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
苺のクリームケーキを食べるあなた
メカ喜楽直人
恋愛
その人は、高い所にある本を取りたくて本棚と格闘しているサリを助けてくれた人。
背が高くて、英雄と称えられる王族医師団の一員で、医療技術を認められて、爵位を得た素晴らしい人。
けれども、サリにだけは冷たい。
苺のクリームケーキが好きな教授と真面目すぎる女学生の恋のお話。
ムカつく偏屈ヒーローにぎりぎりしながら、初恋にゆれるヒロインを見守ってみませんか。

皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。


アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
【完結】もう一度やり直したいんです〜すれ違い契約夫婦は異国で再スタートする〜
四片霞彩
恋愛
「貴女の残りの命を私に下さい。貴女の命を有益に使います」
度重なる上司からのパワーハラスメントに耐え切れなくなった日向小春(ひなたこはる)が橋の上から身投げしようとした時、止めてくれたのは弁護士の若佐楓(わかさかえで)だった。
事情を知った楓に会社を訴えるように勧められるが、裁判費用が無い事を理由に小春は裁判を断り、再び身を投げようとする。
しかし追いかけてきた楓に再度止められると、裁判を無償で引き受ける条件として、契約結婚を提案されたのだった。
楓は所属している事務所の所長から、孫娘との結婚を勧められて困っており、 それを断る為にも、一時的に結婚してくれる相手が必要であった。
その代わり、もし小春が相手役を引き受けてくれるなら、裁判に必要な費用を貰わずに、無償で引き受けるとも。
ただ死ぬくらいなら、最後くらい、誰かの役に立ってから死のうと考えた小春は、楓と契約結婚をする事になったのだった。
その後、楓の結婚は回避するが、小春が会社を訴えた裁判は敗訴し、退職を余儀なくされた。
敗訴した事をきっかけに、裁判を引き受けてくれた楓との仲がすれ違うようになり、やがて国際弁護士になる為、楓は一人でニューヨークに旅立ったのだった。
それから、3年が経ったある日。
日本にいた小春の元に、突然楓から離婚届が送られてくる。
「私は若佐先生の事を何も知らない」
このまま離婚していいのか悩んだ小春は、荷物をまとめると、ニューヨーク行きの飛行機に乗る。
目的を果たした後も、契約結婚を解消しなかった楓の真意を知る為にもーー。
❄︎
※他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる