プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

文字の大きさ
上 下
47 / 102
第1章

47話 協力

しおりを挟む

先生が病室に入ろうとすると手を握り合っている2人の姿がドアの隙間から見えた。


「ゴホンッ‼︎は…入るぞ」

「あ、先生!」


2人は慌てて手を離した。


「お邪魔だったかな」

「い、いえ…」

「スミさん、ちょっとシュン借りますね」

「は、はい」

「シュン、ちょっと」

「はい…」


先生はシュンと病室を出た。


「どうしたんですか?」

「さっき、お前探しに男が来てたぞ」

「えっ」

「多分…会長の指示で尾行してるんだろ。会長にバレてるのか?」

「あ…はい」

「一応、俺がシュンを呼び出した事にしてるけど外で待機してるはずだ。気を付けろよ」

「…はい。すみません」

「明日まで彼女はここに居るからいいけど明後日からどうするんだ?家に帰すのか?」

「家には帰せません。また何されるか…」

「だよな」

「僕が何とかします」

「でもお前の会社のホテルも別荘も連れて行けないだろ」

「はい。別のホテルに連れて行きます」

「俺の別荘が軽井沢にあるんだが、そこで良ければ使っていいぞ。ずっとホテルに居るよりいいだろ…」

「え?いいんですか?」

「ああ」

「先生…ありがとうございます」

「明後日、朝にでも彼女を連れて行ってやるよ」

「何から何まで…感謝します」


シュンは一旦車に乗り、自宅へ帰るフリをして尾行している部下を上手く交わしてまた病院に戻った。


その頃、仕事が終わった裕二はキャバクラに行き女性を口説いていた。


「今晩付き合うか?金ならあるぞ」

「え~っ、何言ってるんですかぁ~もぉ~」

「家に帰っても散らかってるし帰りたくないんだよな~」

「奥さん、掃除しないんですかぁ~?」

「うーん、そうだねぇ。ところでさぁ人って何日間飲まず食わずで耐えられるのかなぁ?」

「え~いきなり何ですかぁ~?そんなの私なら2日も持ちませんよぉ~」

「…そうかぁ」


今日で3日目か…
さすがにヤバいかもな…
そろそろ出してやるか…


スミのことが心配になった裕二は代行を呼び家に帰った。

玄関を開けようとすると掛けていたはずの鍵が開いていた。


えっ…何で開いてんだ?
俺、出る時に閉め忘れたのか…?

疑問に思いながら中へ入って行った。


うわっ、ガラスが散らばってるし…
早くスミに掃除させよう…


「スミー!ご主人様のお帰りだぞー‼︎」


裕二はスミを閉じ込めた部屋に近づいて立ち止まった。


はっ⁈何だこれ‼︎
ドアが壊されているっ‼︎


慌ててスミを探すがどこにも居ない。


どこ行ったんだ‼︎スミの奴!!
出れるはずないのに!!
いったい誰が⁈ま…まさかあいつが…


裕二は由希に電話をかけた。


「も、もしもし由希さん⁈」

「…ええ」

「声が元気なさそうだけどどうしました?」

「…シュンが昨日から帰ってなくて」

「え…」

「明日帰って来るみたいだけど、話があるって…」


やっぱりスミはあいつと一緒なのか‼︎


「あなたの奥さんはちゃんと家に居るのよね?話ってもしかして別れ話されるんじゃ…」

「あいつ…いや、ご主人は会社には行ってるんですよね?」

「…会社には行ってるみたい」

「そうですか。とりあえず別れ話されたとしても別れられないでしょう。会長も黙ってないと思うし」

「そうだろうけど…でも」

「いいですか由希さん、明日何を言われようと弱気になっちゃダメですよ」

「…わかったわ」

「それと、ご主人の電話番号教えて欲しいんですが」

「え…どうして?」

「僕が由希さんとご主人が上手くいくようにしますので」

「本当?わかったわ」


裕二はシュンの番号を聞き出し電話を切った。


さぁ…次はどんなお仕置きするかな~
でも会長と取引きしたし、あの2人が一緒に居る事が会長に知られたらヤバいな~
スミは家から一歩も出られないって自信持って言ってしまったし…
仕事の取引先も譲ってもらった上に金だって…
クッソー‼︎地曽田の奴、どれだけしつこいんだ‼︎



翌朝、先生はスミを軽井沢に連れて行く為シュンと一緒にいるスミの病室に行った。


「スミ、俺明日は休みだから朝から向かうから。それまで1人で大丈夫?」

「う、うん…」

「シュン、スミさんは子供じゃないんだから」

「そうだよ」

「そうだけど…まだ体も痛むだろうし。それにスミは携帯持ってないから連絡取れないのは心配で…」

「大丈夫だから」

「じゃそろそろ行くぞ。シュンも会社に行かないと」

「はい。じゃ…先生、スミをよろしくお願いします」



シュンは2人を見送り会社に向かった。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫は平然と、不倫を公言致しました。

松茸
恋愛
最愛の人はもういない。 厳しい父の命令で、公爵令嬢の私に次の夫があてがわれた。 しかし彼は不倫を公言して……

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。

星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。 グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。 それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。 しかし。ある日。 シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。 聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。 ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。 ──……私は、ただの邪魔者だったの? 衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

あなたが居なくなった後

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。 まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。 朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。 乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。 会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

もういいです、離婚しましょう。

うみか
恋愛
そうですか、あなたはその人を愛しているのですね。 もういいです、離婚しましょう。

貴方にはもう何も期待しません〜夫は唯の同居人〜

きんのたまご
恋愛
夫に何かを期待するから裏切られた気持ちになるの。 もう期待しなければ裏切られる事も無い。

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

処理中です...