プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

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第1章

47話 協力

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先生が病室に入ろうとすると手を握り合っている2人の姿がドアの隙間から見えた。


「ゴホンッ‼︎は…入るぞ」

「あ、先生!」


2人は慌てて手を離した。


「お邪魔だったかな」

「い、いえ…」

「スミさん、ちょっとシュン借りますね」

「は、はい」

「シュン、ちょっと」

「はい…」


先生はシュンと病室を出た。


「どうしたんですか?」

「さっき、お前探しに男が来てたぞ」

「えっ」

「多分…会長の指示で尾行してるんだろ。会長にバレてるのか?」

「あ…はい」

「一応、俺がシュンを呼び出した事にしてるけど外で待機してるはずだ。気を付けろよ」

「…はい。すみません」

「明日まで彼女はここに居るからいいけど明後日からどうするんだ?家に帰すのか?」

「家には帰せません。また何されるか…」

「だよな」

「僕が何とかします」

「でもお前の会社のホテルも別荘も連れて行けないだろ」

「はい。別のホテルに連れて行きます」

「俺の別荘が軽井沢にあるんだが、そこで良ければ使っていいぞ。ずっとホテルに居るよりいいだろ…」

「え?いいんですか?」

「ああ」

「先生…ありがとうございます」

「明後日、朝にでも彼女を連れて行ってやるよ」

「何から何まで…感謝します」


シュンは一旦車に乗り、自宅へ帰るフリをして尾行している部下を上手く交わしてまた病院に戻った。


その頃、仕事が終わった裕二はキャバクラに行き女性を口説いていた。


「今晩付き合うか?金ならあるぞ」

「え~っ、何言ってるんですかぁ~もぉ~」

「家に帰っても散らかってるし帰りたくないんだよな~」

「奥さん、掃除しないんですかぁ~?」

「うーん、そうだねぇ。ところでさぁ人って何日間飲まず食わずで耐えられるのかなぁ?」

「え~いきなり何ですかぁ~?そんなの私なら2日も持ちませんよぉ~」

「…そうかぁ」


今日で3日目か…
さすがにヤバいかもな…
そろそろ出してやるか…


スミのことが心配になった裕二は代行を呼び家に帰った。

玄関を開けようとすると掛けていたはずの鍵が開いていた。


えっ…何で開いてんだ?
俺、出る時に閉め忘れたのか…?

疑問に思いながら中へ入って行った。


うわっ、ガラスが散らばってるし…
早くスミに掃除させよう…


「スミー!ご主人様のお帰りだぞー‼︎」


裕二はスミを閉じ込めた部屋に近づいて立ち止まった。


はっ⁈何だこれ‼︎
ドアが壊されているっ‼︎


慌ててスミを探すがどこにも居ない。


どこ行ったんだ‼︎スミの奴!!
出れるはずないのに!!
いったい誰が⁈ま…まさかあいつが…


裕二は由希に電話をかけた。


「も、もしもし由希さん⁈」

「…ええ」

「声が元気なさそうだけどどうしました?」

「…シュンが昨日から帰ってなくて」

「え…」

「明日帰って来るみたいだけど、話があるって…」


やっぱりスミはあいつと一緒なのか‼︎


「あなたの奥さんはちゃんと家に居るのよね?話ってもしかして別れ話されるんじゃ…」

「あいつ…いや、ご主人は会社には行ってるんですよね?」

「…会社には行ってるみたい」

「そうですか。とりあえず別れ話されたとしても別れられないでしょう。会長も黙ってないと思うし」

「そうだろうけど…でも」

「いいですか由希さん、明日何を言われようと弱気になっちゃダメですよ」

「…わかったわ」

「それと、ご主人の電話番号教えて欲しいんですが」

「え…どうして?」

「僕が由希さんとご主人が上手くいくようにしますので」

「本当?わかったわ」


裕二はシュンの番号を聞き出し電話を切った。


さぁ…次はどんなお仕置きするかな~
でも会長と取引きしたし、あの2人が一緒に居る事が会長に知られたらヤバいな~
スミは家から一歩も出られないって自信持って言ってしまったし…
仕事の取引先も譲ってもらった上に金だって…
クッソー‼︎地曽田の奴、どれだけしつこいんだ‼︎



翌朝、先生はスミを軽井沢に連れて行く為シュンと一緒にいるスミの病室に行った。


「スミ、俺明日は休みだから朝から向かうから。それまで1人で大丈夫?」

「う、うん…」

「シュン、スミさんは子供じゃないんだから」

「そうだよ」

「そうだけど…まだ体も痛むだろうし。それにスミは携帯持ってないから連絡取れないのは心配で…」

「大丈夫だから」

「じゃそろそろ行くぞ。シュンも会社に行かないと」

「はい。じゃ…先生、スミをよろしくお願いします」



シュンは2人を見送り会社に向かった。







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