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第1章
43話 離婚しないように
しおりを挟む由希がシュンの帰りを待っていると16時頃シュンが帰って来た。
「おっ…おかえりなさい」
「…うん」
その時、由希の携帯が鳴った。
相手は裕二だったので急いで別の部屋に行って電話を取った。
「もしもし」
「お昼頃電話くれましたよね?すみません今気づきました」
「そ…それより昨日、奥さん居ました?」
「はいっ?」
「居たの⁈居なかったの⁈」
…もう気づいたのか
「とりあえず今晩会いません?」
「ちゃんと答えてよ‼︎」
「その件で話したいことが…」
「え?」
「会って話します。見せたい物もあるので」
「あ…あなた何か知ってるのね⁈」
「…どうします?今日会います?」
「き、今日は主人が居るから出られないけど…明日なら…」
「わかりました。じゃ明日ホテルで」
電話を切ってシュンを探すと、シュンは寝室のベッドで横になっていた。
「シュン…出張…どうだった?」
シュンは何も言わず、顔を合わせようとしない。
「シュンったら‼︎」
「ごめん、ちょっと休ませて」
仕方なく由希は寝室を出るとリビングに戻り色んな想像をし始めた。
もし柳本さんの奥さんが昨日帰ってなかったら、シュンと一緒に居たって事…?
だとしたらいつからあの2人は…
パーティーの日?そういえばあの日、シュンの帰り遅かった…
少し前まで帰って来ても車を置いて散歩によく行ってたけど、もしかして会ってたの…?
私を拒むのも…
もし本当に不倫してたら私は捨てられるの?
いいえ…それは出来ないはず‼︎
でも不倫を認めたらシュンは私と別れるって言うはず…
私は知らないフリをしてた方がいいの…?
いったいどうしたら…
柳本さんはどこまで知ってるのかしら?
とにかく明日聞いてみないと…
翌朝、由希は仕事に行こうとするシュンを呼び止めた。
「何?」
「あ…あの、今夜ちょっと友達と食事に行くから帰り遅くなると思う」
「…うん」
18時過ぎ、由希がホテルで待っていると裕二がやって来た。
「お待たせしました」
「え、ええ…」
「どうしました?機嫌悪そうですね」
「…座って」
「あっ…はい」
「昨日、奥さん家に居たのか聞いたけど何で答えなかったの?」
「…居ませんでしたよ。実家に泊まりに行くって言って…」
「え…実家に?」
「結局は嘘つかれてましたけど」
「どっ、どういう事⁈」
「実は妻の携帯にGPS付けてるんです。だから嘘だとわかったんです」
「えっ…で…どこに奥さん居たの?」
由希は恐る恐る聞いた。
「…箱根です」
え…
ショックのあまり由希は声が出なかった。
「由希さんはどうして妻のこと聞いてきたんですか?探偵でも雇ったとか?」
由希は裕二の言葉が全く耳に入らなかった。
「由希さん?大丈夫ですか?」
「シュンも…箱根に…」
「一緒に一泊したみたいですね」
「あ、あなた知ってたの⁈いつからあの2人は⁈」
裕二はホテルで撮った写真を由希に見せた。
「こっ…これは?」
「あの2人ホテルでも会ってたんすよ。証拠として写真撮ってやりました」
「イヤーッ‼︎」
由希は奇声を上げた。
「由希さん、落ち着いて下さい」
「あ、あなた…奥さんには言ったの⁈まさか知らないフリしてるとかじゃないでしょ⁈私にも今まで言わなかったけど!」
「妻には言いましたよ。今、反省中です」
「反省中⁈何よそれ‼︎許せない‼︎きっとあなたの奥さんがシュンをたぶらかしたんだわ」
「まぁまぁ…どっちにしろ僕たちは騙されてたんですよ。どうします~?離婚しますぅ~?」
「…離婚は絶対に死んでもしない‼︎」
「僕も一緒です‼︎」
「え?あなたも?何で⁈」
「自分の為にですよ」
「自分の為?」
「まぁ、いいじゃないですか」
「そ…それよりあの2人今も会ってるかも」
「それはないです。妻の携帯は僕が持ってるし妻は反省中なので」
「だから反省中って何⁈本当に会ってないのね⁈」
「はい。大丈夫です‼︎」
「あーっ‼︎私はどうしたらいいの⁈」
「離婚したくなければ僕の言う通りにして下さい」
「えっ」
「地曽田家って見た感じ二世帯みたいですけど、そうなんですか?玄関2つあったし」
「そ…そうだけど」
「じゃ会長は隣に住んでるんですね」
「ええ。それが何か?」
「明日、会長にこの写真見せに行きます」
「えっ⁈ダメよっ‼︎」
「どうしてですか?」
「お義父様が知ったらシュンに何するか…」
「だからいいんですよ。マスコミに知られたらどうなります?大企業の社長だし。社員からも信頼されているようですが信頼ガタ落ちですよ。そうなる前に会長はより一層ご主人を厳しく縛るはず…そしたらうちの妻とも会う事は出来ないでしょう」
「…まぁ確かにそうだけど」
「最悪ご主人が社長の座を降ろされても由希さんがどうにか出来るんじゃないですか?由希さんは大企業の娘だと噂で聞きましたが」
確かにシュンが同業社の社長の妻と不倫してるって知ったら会長は黙ってないはず…
「…わかったわ。じゃあ明日シュンが帰って来る前までに家に来て。出来たら18時45分までに」
「了解ですっ‼︎」
「じゃそういう事で。もう今日は帰りましょうか」
「えーっ、何もせずに⁇」
「そんな気分じゃないでしょ‼︎」
「そんな気分ですっ」
裕二は由希に強引なキスをし、そのままベッドへ連れて行った。
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