プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

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第1章

42話 暴力

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家に着いたスミがリビングに入ると裕二は朝からウイスキーを飲みながらソファーに座っていた。


「…ただいま」

「、、、、」

「朝からお酒飲んでるの?」


裕二は何も言わずスミを怖い顔で睨んでいた。


「わ、私…荷物片付けてくるね」

「おいっ」

「えっ?」

「ゆっくり過ごせたか?」

「う、うん…」

「楽しかったか?」

「え…」

「あいつと箱根に行って楽しかったかって聞いてんだよ‼︎」


えっ…何で知ってるの…


スミは思わず後ずさりすると、裕二がグラスを床に投げつけスミを押し倒し抵抗出来ないようにした。


「ゆ、裕二、ごめん」

「何がだよ‼︎楽しかったんだろ。あいつと一晩中イチャイチャして」

「違うっ、裕二っ、聞いてっ」

「何度も俺を騙しやがって‼︎」


スミが抵抗しようとすると裕二は髪の毛を掴みスミの顔を何回も殴った。


「キャーッ!やめて!」

「外に出られなくなるくらい殴ってやる‼︎」

「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ」


スミの顔は真っ赤に腫れ上がり、ようやく裕二は手を止めた。


「お前をしばらく痛めつけた後、近いうちにあの写真を地曽田の会長と奥さんに見せに行くから」

「それだけはやめてっ」

「うるせーんだよ‼︎」


裕二の足にしがみつくスミを力いっぱい蹴り、スミは倒れ込んだ。
さらに裕二はスミの足を思い切り踏みつけた。

スミは痛さのあまり声も出なかった。


「汚らわしいんだよ!クソが‼︎」


裕二はスミを引きずり、3畳ほどの荷物置きの部屋に閉じ込めた。


「2日後、地曽田の家に写真見せに行く。会長に見せたら何て言うかな~。あいつは社長の座を下ろされるだろ~な~」

「本当に…やめて…」

「それまでそこに居ろ。外側に鍵もつけたから一歩も出られないからな!あー、水だけはくれてやる!」


裕二は水の入ったペットボトルをスミに投げつけるとドアを閉め外から鍵をかけた。


その後も裕二はリビングで暴れ、ガラスの割れる音が鳴り響いていた。


ぐったりしたスミは震えが止まらず耳を塞いでいた。



シュンはまだ家に帰っておらず、その間に由希は探偵事務所に行った。


「どうでしたか?」

「…それが」

「どうしたんですか?」

「行きの高速でご主人の車を見失ってしまいました」

「えっ⁈じゃあ尾行出来なかったの⁈」

「一晩中探したんですが…すみません」

「何やってるのよ‼︎それでもプロ⁈」

「すみません…ただ」

「…何?」

「行く時、家の近くで女性を乗せて行かれました」

「えっ⁈」

「出張との事だったので秘書か会社の人かも知れませんが…」

「でも秘書は男性だし…女性社員だとしても主人の車で行くかしら…」


すると探偵がその時に撮った写真を由希に渡した。


「一応その時に撮った写真です」

「…えっ、こ、この人…えっ⁈」

「知ってる人ですか?」


確かこの人、柳本さんの奥さん…どうして⁈


「あ、ありがとう」


由希は約束通り、倍の報酬を探偵に渡して急いで出て行った。


え⁈失敗したのにこんな金額⁈


探偵は笑いが止まらなかった。


事務所を出た由希は何度も裕二に電話をかけるが一向に繋がらない。


あー、もう‼︎どうして出ないのよ!
何でシュンの車に柳本さんの奥さんが乗るのよ‼︎
いったいどういう事⁈
ま、まさか出張って…嘘だったの⁈
2人は不倫してるの⁈
いいえ、何かの間違いよ!
シュンと柳本さんの奥さんが…そんなはず…
とにかく奥さんが昨日家に居たか柳本さんに確かめなきゃ…


由希はパニックになっていた。

急いで家に帰ったが、シュンはまだ帰って来ていなかった。








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