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第1章
40話 見張られた2人
しおりを挟むシュンは家で由希と食事をしていた。
「明日、急な出張で帰れないから」
「え?どこに?」
「箱根まで」
「箱根?そ、そうなんだ…」
食事を終えシュンがシャワーを浴びに行くと、由希はこの前の探偵に電話をした。
「もしもし、先日お世話になった地曽田ですけど…」
「あ、どうも。どうされました?」
「また依頼したいんですが…」
「ご主人の浮気調査ですか?」
「はい」
「また何か疑わしい事があったんですか?」
「ただ明日一泊で出張になったみたいだから心配で…」
「明日ですか⁈」
「はい。急なお願いなので倍払います」
「倍⁈わ、わかりました」
「出発から帰宅するまでお願いします」
「では明日早朝からお宅の近くで待機しておきます」
「お願いします」
きっと何もないはず…
由希は安心する為に再度依頼したのだ。
その頃、スミは食事を終えテレビを見ている裕二に恐る恐る明日のことを話した。
「実家に?」
「…うん」
「そうだな…たまには実家にも泊まった方がいいな…わかった。行ってこい」
「ありがとう!」
「お義母さんに色々俺のこと言うなよ」
「わかってる」
「あっ、そうだ!」
裕二は取り上げていた携帯をスミに渡した。
「な、何?」
「何かあった時に連絡つくように明日は携帯持って行け」
「わかった…」
「あいつの番号は消してるからな!」
「…うん」
「電源は入れておけよ!」
裕二はGPSを付けている事を思い出し持たせたのだ。
翌朝、裕二は家を出ると由希に電話した。
「あ、由希さん!柳本ですけど」
「はい…」
「今大丈夫ですか?」
「…少しなら」
「あの…今夜会えます?」
「今夜ですか?」
「ご主人が帰ってたら無理ですか?」
「いえ…大丈夫です」
「やった‼︎じゃ、いつものホテルで」
お互い今夜は1人の裕二たちは会う事にした。
午後になりシュンは家を出てスミの家に向かった。
同時に待機していた探偵も後を追った。
スミの家の前に着くとシュンはクラクションを鳴らした。
しばらくしてスミが出てきてシュンの車に乗った。
2人は笑って顔を見合わせ、車を走らせた。
「どこに行くの?」
「箱根」
「箱根?」
「うん。別荘だけど」
「へぇー、楽しみ!」
「目の前は海だし夜はバーベキューしよう」
「本当⁈」
「うん」
「楽しみだな。ところで何でスーツなの?」
「一応、出張って事になってるから。着いたら着替えるよ」
「そっか…」
高速道路に入り車を走らせているとシュンはバックミラーを仕切りに見ていた。
「どうしたの?」
「いや…ところでご主人は疑ってなかった?」
「実家って言ったから疑ってなかったよ」
「そう…」
ずっと同じ車が後ろにいるので気になったシュンは急に車線変更した。
「ごめん。ちょっと飛ばすね」
「え?う、うん…」
車を飛ばし続けると何とか後ろにいた車はいなくなった。
「つけられてたの?」
「わからない…」
「考え過ぎだよっ」
「…そうだね」
高速を降り到着した。
シュンの車を見失った探偵は箱根インターを降り探し回っていた。
2人は別荘に荷物を置きしばらく海を眺めていた。
「バーベキューするなら買い物行かないとね」
「買い物なら今朝して来たよ」
シュンはトランクを開け大きなクーラーボックスを出した。
「うわー!ありがとう‼︎」
「今日は何も考えずただ楽しもう」
「うん…そうだね」
2人は夕方まで海で思いっきり遊んだ。
その頃、会社にいる裕二は携帯を手に取りスミの現在地を確認していた。
ちゃんと実家に居るかなぁ~
えっ…ここは…箱根?
何で箱根なんかに居るんだ…
お義母さんと温泉にでも行ってるのか…
優雅なもんだなぁ~
裕二に居場所を把握されてるとも知らずにスミとシュンはバーベキューの準備をしていた。
夜になり、裕二は待ち合わせしたホテルに向かうと先に着いていた由希はワインを飲みながら待っていた。
「もう飲んでるんですね」
「はい…ちょっと早く着いたから先に飲んでました」
「じゃ、シャワー浴びて来ますね」
「シャワーは後で…先に飲みましょ」
「そんなにゆっくりしていいんですか?」
「ええ、今日は主人帰って来ないから」
「そうなんですね‼︎でも…どうして?」
「出張なんです」
「出張…?どこにですか?」
「箱根に行ってます」
裕二は耳を疑った。
「箱根…ですか…」
「はい」
裕二は携帯を取り出し再びGPSを見てスミの現在地を確かめた。
箱根…あいつら一緒なのか!!
裕二は突然笑い出すと由希が飲んでいるワインを取り上げて一気に飲み干した。
「由希さん!今日はかなり燃えそうです!覚悟しといて下さいね‼︎」
「えっ…ええ…」
スミ‼︎上手いこと俺を騙しやがったな‼︎
帰って来たら覚えてろよ!
裕二は怒りが絶頂に達した。
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