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第1章
39話 約束
しおりを挟む公園に着いたスミはベンチに座っているシュンに気づいた。
え…シュン?
シュンもスミに気づき立ち上がった。
「…スミ」
「シュン…」
スミはシュンの元へ行きベンチに座った。
「どうしてここに?」
「…ただ何となく。スミは?」
「…私も」
久しぶりの再会に2人は見つめ合う。
「…久しぶりだね」
「うん。元気だった?」
「…うん」
「何か…ごめんね」
「ご主人に見られてたんだね、俺たち」
「うん。主人がシュンの会社に行ったでしょ?何か言われた?」
「写真見せられた」
「そっか…ごめん」
「あれじゃ誤解されるよね。俺の方こそごめん」
「あ、ホテル代払ってくれてありがとう。主人からお金もらった?」
「うん。スミ…家は大丈夫なの?」
「…うん。大丈夫よ」
「携帯、ずっと電源切ってるでしょ」
「あ…私の携帯、主人が持ってる」
「え…何でそこまで…俺のせいか…」
「ううん、シュンのせいじゃ…」
するとシュンはスミの手首を掴んだ。
「こっ、これ…何⁈」
ロープで縛られた跡がまだ残っていた。
「あっ…これは…」
シュンはもう片方の手首の跡にも気づいた。
「これって…」
スミは袖を伸ばして隠した。
「ご主人に何された⁈」
「、、、、」
シュンはまさかと思いスミの足首も見た。
両足首にも跡がありシュンはショックを受ける。
「縛られてたんだね?」
スミは思い出し涙が出てきた。
シュンは怒って立ち上がった。
「ご主人に会いに行ってくる」
「え⁈やめてっ」
「だっておかしいでしょ⁈異常だよ‼︎」
「私が悪いの‼︎全て私が…」
「何言ってるんだよ‼︎」
「それにシュンが主人に会いに行ったら何しでかすかわからない…」
…俺はいいとして、スミに何かあったら…
シュンは行くのを我慢した。
悔しさのあまり地面を拳で殴った。
「…シュン」
「もちろん原因は俺だよね。本当ごめん。スミがそういう目にあってるとは知らずに俺は…」
「今は大丈夫だから」
「でも…」
「もう私に関わらない方がいい。シュンにまで何かあったら私…」
「スミ…本当に今大丈夫なの?正直に言って」
「うん、大丈夫。だからこうやって外に出られたし」
シュンはスミの縛られた跡を見ながらしばらく考えた。
「もう俺たち、友達としても会わない方がいいね…」
「…うん」
「スミ?」
「ん?」
「明後日の土曜、出れる?」
「え?」
「最後に、いい思い出作りたい…」
「…シュン」
「朝まで一緒は厳しいだろうから」
「大丈夫。実家に泊まるって言って出てくる。私も最後にシュンといい思い出作りたい。このまま最後にしたら後引きそうだから」
「うん…土曜はご主人休み?」
「仕事」
「じゃ、昼前に迎えに行くから」
「うん、わかった」
2人は約束をして帰った。
スミが帰宅すると裕二はまだ寝ていた。
実家に泊まるって言えば裕二は何も言わないはず…
明後日…この日でシュンとは最後…
いい思い出のまま笑ってシュンとは別れよう…
お互いの為に…
一泊だけどシュンなら安心だと思ったスミは何の迷いもなかった。
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