プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

文字の大きさ
上 下
35 / 102
第1章

35話 禁断な2人

しおりを挟む

裕二は地曽田家を調べ歩いて家を探していた。
20分ほど歩き裕二は立ち止まった。


ここか…あいつの家は…


裕二は立ち止まったままじっと家を見ていると、シュンの妻の由希が玄関から出て来た。


あ…あいつの奥さん…


由希は裕二の姿に気付き、近寄って来た。


「あの…うちに何か用ですか?」

「あ…いえ…」

「…あなたは確か」

「え?」

「うちの創立記念パーティーで会いましたよね?」


俺のこと覚えててくれたんだ…


「はい…」

「確か…柳…柳本グループの社長さんでしょ?」

「そうです」

「シュンに用事ですか?今日は接待で遅くなると思いますよ」

「あ、そうですか…」

「何か伝言あれば伺いますよ」


裕二は由希に見惚れていた。


「柳本さん?」

「あ…あの、少し時間ありますか?ご主人遅いのならよかったらお茶でもどうです?」

「えっ?」

「奥さんに話したい事もあるので」

「それは…シュンのことですか?」

「…そうです」


え…まさかシュンに女が…?

由希は妄想癖が激しい人だった。


「ちょうど飲みたかったんです。お茶ではなく、お酒飲みに行きません?」

「本当ですか⁈行きましょう‼︎」


2人はタクシーを拾い、バーに行った。


「こんなきれいな人と飲めるなんて嬉しいな~」

「それより話したい事って…?シュンがどうかしたんですか?」

「もう少し飲んで話します」

「いい話じゃなさそうですね…」

「お2人は上手くいってるんですか?」

「えっ?も、もちろん上手くいってますよ」

「…そうなんですね」


地曽田の奴…
奥さんと上手くいってるのにスミとも…


「柳本さんのところは上手くいってるんですか?」

「はい。上手くいってますよ」

「パーティーの時見たけど尽くしそうな人でしたもんね」

「…ですね」

「うちまでタクシーで来たんですか?」

「歩いて来ましたよ。近所なので」

「えっ、そうなんですか⁈」

「本当は奥さんに会いに行ったんです」

「え?私に?あっ…シュンの件でですね」

「だからご主人には僕のこと言わないで下さい」

「そ、それはいいですけど…」

「次、何飲みます?」

「じゃ…ウォッカで」

「ウォッカ?じゃ…僕も」


バーに来て1時間飲み続けた2人は、いい感じに酔ってきた。


「あの…そろそろ教えてくれません?シュンの事」

「あ…それが、この前女性と一緒にいるとこ見たから。ホテルの前で…」

「えっ…嘘でしょ?」

「あれは確かに地曽田社長でした」


由希はウォッカを一気に飲み干してもう一杯頼んだ。


「一緒に居た女性はどんな人だった⁈」

「大丈夫です。奥さんの方が断然きれいです」

「…いつ頃?」

「つい最近ですよ」


由希は次々に飲み干した。


よしっ、その調子でどんどん飲めっ…

裕二は心の中で思った。


「その日だけだったかも知れないし、わからないですよ。ただご主人には目を光らせてた方がいいですよ」


だからシュンは携帯を離さないのね…
帰りが遅いのはその女と…?
もしかして今日も…?


由希が平常心ではないとわかり、裕二は由希の肩に手を回し耳元で言う。


「ご主人とちゃんとしてます?」

「え?」

「アレですよ。アレ」

「…いいえ」

「僕も妻と全然してないんです」

「そ…そうなんですか?」

「今頃ご主人、何してるんですかねー。本当に接待ですかねー」

「…柳本さん‼︎もっと飲みましょ‼︎今日は酔いたい気分です」


すると裕二は由希に軽くキスをした。


「えっ」

「2人だけでゆっくり飲めるとこ行きません?」


2人はしばらく見つめ合い、バーを出てそのままホテルに行った。


ホテルに入り2時間経った。


「由希さん、今までで1番最高でしたよ」

「…私も」

「たまにこうして会いませんか?」

「そ…そうですね」

「番号交換しましょう」


2人は携帯番号を交換した。


「ご主人が帰って来る前に早く帰りましょう」


2人はタクシーに乗り家に帰った。


裕二は機嫌よく家に入った。


これで地曽田は奥さんに縛られるな…
あんなきれいな奥さんともデキたし、最高だったな~
由希さんもまんざらでもなさそうだったし…
次いつ会おうかな~由希さん♡


裕二はニコニコしながら、リビングに横たわっているスミを無視して寝室に入った。









しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫は平然と、不倫を公言致しました。

松茸
恋愛
最愛の人はもういない。 厳しい父の命令で、公爵令嬢の私に次の夫があてがわれた。 しかし彼は不倫を公言して……

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。

星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。 グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。 それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。 しかし。ある日。 シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。 聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。 ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。 ──……私は、ただの邪魔者だったの? 衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

あなたが居なくなった後

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。 まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。 朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。 乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。 会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

もういいです、離婚しましょう。

うみか
恋愛
そうですか、あなたはその人を愛しているのですね。 もういいです、離婚しましょう。

愛のかたち

凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。 ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は…… 情けない男の不器用な愛。

処理中です...