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第1章
32話 GPS
しおりを挟むホテルの入り口で代行と話しているシュンに裕二は気付いた。
地曽田の野郎…
こんな高級ホテルで接待かよ…
あー、ムカつく!
代行を呼んだシュンに対してそう思い、裕二は帰って行った。
家に着いた裕二は散らかったリビングでお酒を飲みながらスミに電話をした。
「もしもし」
「スミ、今何してた?」
「別に」
「いつ帰って来るんだよ」
「今は何とも言えない」
「何だよ。スミがまだ疑ってると思って秘書は辞めさせたよ」
「え…」
「だから戻って来てくれよ」
「…ごめん」
「スミー、今どこに泊まってるんだよ」
「…教えたくない」
「じゃあ明日家に来いよ。スミ宛の郵便物もあるから取りに来て。俺が届けてもいいけど場所教えてくれねーし」
「わかった。じゃ明日行く」
「19時以降来いよ」
「何で?昼頃行く」
「昼頃って、俺居ないじゃないか」
「郵便物取りに行くだけだからいいでしょ?」
「…わかったよ」
翌日昼頃、スミは家に帰った。
リビングに入るとあまりの散らかりようにスミは唖然とした。
その時、トイレから裕二が出て来た。
「えっ⁈裕二‼︎」
「おー、スミ来たか」
「何で居るの⁈仕事は⁈」
「休んだ」
「休んだって…裕二、社長でしょ⁈」
「あー、ちょっと体調悪くて…」
裕二は急に体調が悪いフリをした。
本当はスミが昼頃に来ると知って会社に行かなかったのだ。
「体調って…どんなふうに悪いの⁈」
「頭痛いし風邪かな。スミが居なくてロクなもん食ってないしな」
「カップラーメンばかり食べてるんでしょ」
「うん。ゴホンッ、ゴホンッ」
「おかゆ作るから」
「本当?」
「その前に片付けなきゃ…」
「ひどいだろ。この散らかり方」
「掃除も出来ないの?…ったく」
スミはバックを床に置き、掃除をし始めた。
「バックは邪魔になるから寝室に置いとくぞ」
裕二はわざと小さな声でそう言って寝室のベッドにバックを置いてリビングに戻った。
「散らかってるのはリビングだけだから。俺ちょっと頭痛いからベッドで横になってるわ」
「うん」
寝室に行った裕二はスミのバックから携帯を取り出し、GPSを付けた。
よし…これでスミがどこに泊まってるかわかるぞ…
スミが教えないのがいけないんだからな…
1時間後、掃除が終わるとスミはおかゆを作った。
「裕二っ‼︎寝てるの⁈」
「起きてるよ」
裕二はリビングに行った。
「おー、片付いたね。ありがとう」
「おかゆ作ってるから食べて」
「うん」
「私の郵便物は?」
「あっ、これ」
スミは郵便物を受け取るとバックを探す。
「あれっ…私のバックは…」
「あ、掃除の邪魔になるからベッドの上に置いたよ。持って来るよ」
バックを受け取るとスミは家を出て行った。
スミが出て行くと、裕二はすぐに携帯で位置情報を確認していた。
スミはそのまま中心街へ行き買い物をしていた。
すげー、GPSって…
今デパートか…
あいつ買い物してるのか…?
夕方まで買い物をしていたスミはホテルに戻った。
え…このホテルって…
俺が出勤途中に毎日通るプリセスホテルか⁈
スミ…ここに泊まってるのか…
自分だけいいとこ泊まりやがって…
まぁでもこれで泊まってる場所わかったからいいとして…
あとは部屋番号さえ分かれば…
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