プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

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第1章

30話 結局は金

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この日の夜、帰宅した裕二がカップラーメンを食べているとチャイムが鳴った。


スミ…⁇


急いで玄関のドアを開けるとアキが立っていた。


「ア、アキ⁈」

「来ちゃった」

「なっ、何で⁈」

「奥さん出て行ったんでしょ?」

「だからって家まで来るか⁈」

「じゃあ会ってよ‼︎全然会ってくれないじゃない‼︎会社でも冷たいし‼︎」


大声を出すので裕二はアキを家の中に入れた。


「うわーっ、広い部屋‼︎」


アキは家の中を探索し始めた。


「あんまり色々見るなよ」

「いいじゃない。それよりカップラーメン食べてたの?」

「う、うん…」

「何か作ってあげようか」


アキは冷蔵庫を開けた。


「何もないじゃない」

「もういいよ」

「食事くらい作りに来ればいいのに。奥さん冷たいね」

「アキ、もう帰って。何だか落ち着かない」  

「帰って来ないんでしょ?奥さん」

「でも…鍵持ってるしいつ戻って来るか…」

「スリルがあっていいじゃない‼︎」


アキは裕二を連れて寝室に入った。


「ここで裕二さんと奥さん…」

「お、おい」


アキは服を脱ぎ始めた。


「アキ、何してるんだ⁈」

「久しぶりでしょ」

「ここはダメだよ」

「いいじゃない」

「アキ…」


興奮してきた裕二も上着を脱ぎアキとベッドに入った。


ガチャッ


「えっ⁈」

「何の音?」

「玄関のドアが…ヤバい、スミだ!隠れろ」

「えっ」


慌てて裕二はアキをクローゼットに押し込んだ。

遺言書のことが気になったスミは裕二に聞こうと思って家に戻ったのだ。


裕二…居ない…シャワーかな…?


すると裕二が上半身裸で寝室から出て来た。


「ス…スミ」

「裕二、何その格好」

「あ…今からシャワー浴びようと思って」

「そう…」

「ど…どうしたんだ?戻って来たのか?」

「ちょっと聞きたい事があって寄っただけ」

「な、何だよ」

「今日、実家で遺言書を見て来たんだけど…」

「え…あ、ああ」

「確かにはっきりと会社は裕二に任せるって書いてあったんだけど…」

「だろっ。で何?」

「たった半年間でお父さんと裕二はそんな信頼関係作れたのかなって思って…」

「半年間?」

「私たちが結婚して半年で父は亡くなったから。父はその間ずっと入院してたけどもしかして裕二、父に会いに行ってたの?私と一緒にお見舞いに行ってた時はそこまで裕二と父は話してなかったよね?」


スミ…疑ってるのか…


「ねぇ聞いてる?」

「そ、そうだよ。スミには言ってなかったけど俺1人でお義父さんの病室によく行ってたんだ」

「そうだったの?だから父は…わかりました」

「あ、ああ…」

「じゃ…」

「今日、実家で余計なこと何も話してないよな⁈」

「…はい」

「そうか、わかった。ところでどこのホテルに泊まってるんだよ」

「どこだっていいでしょ。じゃ行くね」


スミが出て行くと隠れていたアキがリビングに来た。


「マジ焦ったよ。さぁ続きするか」


裕二がアキを寝室に連れて行こうとするとアキは裕二の手を振り払った。


「な、何だよ」

「全部聞こえてたんだけど本当?」

「え…」

「今の会社って奥さんの親の会社なの⁈」

「…ああ」

「じゃ、離婚したら会社も手離すことになるのね?」

「…だから離婚はしない‼︎」

「何それ‼︎私、裕二さんの親の会社だと勝手に思ってた…離婚したところで社長じゃなくなるし、奥さんにしがみついてる裕二さんなんて無理…」

「はぁ?アキは俺を何だと思ってるんだ?」

「何って…金よ‼︎社長夫人になりたかったのに!」

「お…お前、俺を金として見てたのかよ!」

「そうよ‼︎金以外に何があるのよ。もう私、会社も辞めるわ。居ても意味ないし。さようなら」


アキは服を着て出て行った。


何だよ‼︎どいつもこいつも‼︎


裕二は家の中をめちゃくちゃにした。








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