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第1章
26話 すれ違い
しおりを挟む18時40分になり、裕二が帰って来る前に家を出ようとしたスミが玄関を開けると裕二が帰って来た。
「えっ、ゆ、裕二」
「スミ、どこ行くんだ⁈」
「ちょっ、ちょっとコンビニに」
「じゃ俺も行く」
「いいよ、1人で行く」
「一緒に行くって!何?今日の事まだ怒ってんの?」
「…そうよ‼︎」
すると裕二は突然土下座をした。
「えっ⁈な、何してるの⁈」
「ごめん。あそこまでするつもりはなかったんだ。やり過ぎたよ。反省してる」
「ちょっとっ、やめてよ‼︎」
「許してくれる?」
「もういいから立ってよ‼︎」
「本当か⁈じゃ一緒にコンビニ行こう」
「もう行くのやめた。さっきまでアイス食べたかったから買いに行こうと思ってたけど、もういいや」
「そっか…飯は?」
「作ってない」
「え?何で?」
「作る気しなかったから。何か食べて来て」
早く行かなきゃ…
「じゃ一緒に行こう。1人じゃ嫌だ」
「私はいいから、1人で食べに行ってきてよ」
「何だよそれ。じゃ行かない。出前でも取るよ」
え…どうしよう…
もう19時だし…シュンさん来てるよね…
裕二は電話で出前を頼むとシャワーを浴びに行った。
スミは急いでシュンに電話した。
(おかけになった電話は電波の届かない所か電源が入ってない為繋がりません)
え…繋がらない…
その時すでに公園に居たシュンは、奥さんからの電話が鳴らないように電源を切っていた。
そんな事も知らないスミは何回も電話をした。
すると裕二がシャワーを終えて戻って来たのでスミは慌てて携帯を置いた。
「出前来るまでビールでも飲むか。スミも飲む?」
「私はいいよ」
時刻は20時になっていた。
さすがにもうシュンさん帰ったよね…
明日裕二が会社に行ったらすぐ電話して謝らないと…
シュンはこの日0時過ぎまで公園に居た。
翌朝、裕二が家を出るとすぐにスミはシュンに電話をかけた。
「…もしもし」
え…女性…
「もしもし?どちら様?」
スミは慌てて電話を切った。
きっと奥さんだ…
シュンさんまだ家なのかな…
シュンさんの携帯、勝手に出たのかな…
そんな訳ないか…
その時スミは、奥さんは勝手に携帯を見るってシュンが話していた事を思い出した。
昨日のこと謝りたいけど、電話しない方がいいかな…
その頃シャワーを浴びていたシュンは、会社に行く準備をしていた。
「昨日は帰り遅かったのね」
「…うん」
「車置いてどこ行ってたの?」
「1人で飲みに行ってた」
「…そう」
「あれっ、携帯がない」
「あっ…そこにあるわよ」
「そんなとこに置いたかな…じゃ行って来ます」
シュンは車に乗って携帯の履歴を確認するがスミからの着信は入ってなかった。
スミとシュンはお互いに気を遣って連絡しないまま1週間が経った。
この日、裕二が社長室に居るとアキが入って来た。
「ねぇ、いつになったら会ってくれるのよ!」
「ごめん。忙しくて。もしかしたら明日、大丈夫かも知れない」
「本当に⁈」
「…うん」
今晩またスミが拒んだら、明日はアキとホテルに行こう…
「もし明日がダメでも近いうち会うから」
「なるべく明日にしてよね‼︎」
アキは少し安心して社長室を出て行った。
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