20 / 102
第1章
20話 疑いの目
しおりを挟む「家に車を置いてくるので家の少し手前でスミさんを降ろしますね。そして歩いてお店まで行きましょう」
「わかりました」
シュンの家の近くに着き、手前でスミは車から降りた。
「すぐに来ますからここで待ってて下さい」
「はい」
シュンは車を置きに行った。
あそこがシュンさんの家か…
すごい豪邸…
さすが地曽田家だな…
シュンが戻って来て2人は歩いてレストランに行った。
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」
「あの…先日は祝っていただきありがとうございました」
「いいえ~、こちらこそ。優しい彼氏さんですね」
そう言うと店長は行った。
「ハハハ。否定する前に行っちゃいましたね」
「ですね。何食べましょうか」
「そうですね~」
2人は2時間ほど食事をしながら会話を楽しんだ。
食事を終え店を出て歩いていると、突然シュンが立ち止まった。
「どうしました?」
「あの…」
「え?」
「もうちょっと一緒に居ませんか?」
シュンの言葉にスミは一瞬ドキッとした。
「久しぶりだしまだ帰りたくなくて。無理なら…」
「私も…私もまだ帰りたくないです」
2人は微笑み合った。
そして近くの公園まで歩いた。
夜の公園は誰も居なくて静かだ。
「それにしても、私ならともかくシュンさんが早く帰りたくないって珍しいですね」
「俺だって…」
「え?」
「スミさんと居ると落ち着くんです」
「シュンさん…」
「仕事の疲れや嫌なことも忘れられるし、何というか…スミさんに癒されます」
「私もです…」
「…スミさん」
2人は見つめ合うがこれ以上はダメだと思ったシュンは顔をそらした。
「ご主人とは相変わらずですか?」
「はい…あっ、この前主人と秘書がやり取りしてるラインを証拠として写真に残そうとしたら、全部削除されてました」
「そうですか」
「2人がキスしてるのを見た事も言ったんです。だけどやっぱりシラを切られました」
「スミさんはご主人と離婚したいんですか?」
「はい。もう一緒に居るのも嫌だし出来るだけ早く離婚したいです」
「じゃ何としてでも証拠を掴まないとですね。証拠もなく離婚話したらご主人どうなるか…」
「最悪、証拠掴めなかったら仕方ありません。一方的に別れます。主人は荒いけど口だけだし大丈夫ですよ」
「そうですかね…」
「心配してくれてるんですか?」
「…まぁ」
「シュンさんは私を弱い女だと思ってるでしょ?実は強いんですよ~」
裕二が気が荒いと知ってしまったシュンはスミのことが心配だった。
2人はしばらくベンチに座り話していたが時刻は22時を回り、それぞれの家に帰って行った。
シュンがリビングに入ると由希がソファーに座っていた。
「ただいま」
「また車置いて散歩に行って来たの?」
「…うん」
「食事は?」
「して来たよ」
「そう、じゃシャワー浴びてくれば?」
「そうする」
シュンが浴室に行くと早速由希は上着からシュンの携帯を取り出しチェックしていた。
すりガラス越しにシュンには見えていた。
スミが玄関を開けると裕二が来て、スミの手を強く引っ張りソファーに座らせた。
「何っ⁈」
「今までどこに居たんだよ‼︎」
「どこだっていいでしょ⁈」
「答えろよっ‼︎地曽田とどこに居たんだよ‼︎」
「え…」
「お前、あいつの会社のすぐ近くで働いてるだろ。しかも今日あいつの車でどこか行ってただろ‼︎」
何で知ってるの…?
「そ、それは…」
「あいつとデキてんのか⁈」
「違う‼︎そんなんじゃないし‼︎」
「じゃ、何であいつの車に乗ったんだよ!」
「送ってもらったのよ。よくコーヒー買いに来られて話しているうちに家が近所だって事がわかって」
「近所⁈」
「そうよ。一度パーティーで顔合わせてたから向こうも私のこと覚えてたし」
「じゃあ、あいつはスミが俺の妻だってこと知ってながら…何で奴だ‼︎近所だからって送ってもらう方もどうかと思うけど!それに今22時過ぎだぞ!どこに行ってたんだよ‼︎」
「、、、、」
裕二には近くのレストランのことは知られたくなかった。
「何だよ!ホテルにでも行ってたのか⁈」
「ホテル⁈何言ってるの⁈行く訳ないでしょ‼︎裕二たちじゃないんだから‼︎」
「え…」
スミの奴…
やっぱり俺の携帯見たのか…
「それに地曽田社長は裕二と違って真面目なんだから!」
「なっ、何⁈」
裕二は思わずスミの手首を力強く握り、突き飛ばした。
「痛っ、何するの⁈」
「あっ…ご、ごめんっ」
スミは走って寝室に行った。
俺とした事が…
いや、でも地曽田と比較したスミが悪いんだ‼︎
いったい地曽田と2人でどこに行ってたんだ‼︎
よりによって地曽田なんかと…
ベッドに入ったスミは怒りが収まらなかった。
突き飛ばすなんて…許せない‼︎
裕二と違って私たちは何もないのに…
でも何でバイト先がわかったんだろ…
裕二の事だから、バイト辞めさせる為に何するかわからない…
地曽田グループの近くだから辞めさせるに決まってる…
店長いい人だし仕事も楽しいし、辞めたくない…
いったいどうすればいいの…
2
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説


愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。

あなたが居なくなった後
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。
まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。
朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。
乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。
会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる