プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

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第1章

20話 疑いの目

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「家に車を置いてくるので家の少し手前でスミさんを降ろしますね。そして歩いてお店まで行きましょう」

「わかりました」
 

シュンの家の近くに着き、手前でスミは車から降りた。


「すぐに来ますからここで待ってて下さい」

「はい」


シュンは車を置きに行った。


あそこがシュンさんの家か…
すごい豪邸…
さすが地曽田家だな…


シュンが戻って来て2人は歩いてレストランに行った。


「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」

「あの…先日は祝っていただきありがとうございました」

「いいえ~、こちらこそ。優しい彼氏さんですね」


そう言うと店長は行った。


「ハハハ。否定する前に行っちゃいましたね」

「ですね。何食べましょうか」

「そうですね~」


2人は2時間ほど食事をしながら会話を楽しんだ。

食事を終え店を出て歩いていると、突然シュンが立ち止まった。


「どうしました?」

「あの…」

「え?」

「もうちょっと一緒に居ませんか?」


シュンの言葉にスミは一瞬ドキッとした。


「久しぶりだしまだ帰りたくなくて。無理なら…」

「私も…私もまだ帰りたくないです」


2人は微笑み合った。

そして近くの公園まで歩いた。
夜の公園は誰も居なくて静かだ。


「それにしても、私ならともかくシュンさんが早く帰りたくないって珍しいですね」

「俺だって…」

「え?」

「スミさんと居ると落ち着くんです」

「シュンさん…」

「仕事の疲れや嫌なことも忘れられるし、何というか…スミさんに癒されます」

「私もです…」

「…スミさん」


2人は見つめ合うがこれ以上はダメだと思ったシュンは顔をそらした。


「ご主人とは相変わらずですか?」

「はい…あっ、この前主人と秘書がやり取りしてるラインを証拠として写真に残そうとしたら、全部削除されてました」

「そうですか」

「2人がキスしてるのを見た事も言ったんです。だけどやっぱりシラを切られました」

「スミさんはご主人と離婚したいんですか?」

「はい。もう一緒に居るのも嫌だし出来るだけ早く離婚したいです」

「じゃ何としてでも証拠を掴まないとですね。証拠もなく離婚話したらご主人どうなるか…」

「最悪、証拠掴めなかったら仕方ありません。一方的に別れます。主人は荒いけど口だけだし大丈夫ですよ」

「そうですかね…」

「心配してくれてるんですか?」

「…まぁ」

「シュンさんは私を弱い女だと思ってるでしょ?実は強いんですよ~」


裕二が気が荒いと知ってしまったシュンはスミのことが心配だった。

2人はしばらくベンチに座り話していたが時刻は22時を回り、それぞれの家に帰って行った。



シュンがリビングに入ると由希がソファーに座っていた。


「ただいま」

「また車置いて散歩に行って来たの?」

「…うん」

「食事は?」

「して来たよ」

「そう、じゃシャワー浴びてくれば?」

「そうする」


シュンが浴室に行くと早速由希は上着からシュンの携帯を取り出しチェックしていた。
すりガラス越しにシュンには見えていた。



スミが玄関を開けると裕二が来て、スミの手を強く引っ張りソファーに座らせた。


「何っ⁈」

「今までどこに居たんだよ‼︎」

「どこだっていいでしょ⁈」

「答えろよっ‼︎地曽田とどこに居たんだよ‼︎」

「え…」

「お前、あいつの会社のすぐ近くで働いてるだろ。しかも今日あいつの車でどこか行ってただろ‼︎」


何で知ってるの…?


「そ、それは…」

「あいつとデキてんのか⁈」

「違う‼︎そんなんじゃないし‼︎」

「じゃ、何であいつの車に乗ったんだよ!」

「送ってもらったのよ。よくコーヒー買いに来られて話しているうちに家が近所だって事がわかって」

「近所⁈」

「そうよ。一度パーティーで顔合わせてたから向こうも私のこと覚えてたし」

「じゃあ、あいつはスミが俺の妻だってこと知ってながら…何で奴だ‼︎近所だからって送ってもらう方もどうかと思うけど!それに今22時過ぎだぞ!どこに行ってたんだよ‼︎」

「、、、、」


裕二には近くのレストランのことは知られたくなかった。


「何だよ!ホテルにでも行ってたのか⁈」

「ホテル⁈何言ってるの⁈行く訳ないでしょ‼︎裕二たちじゃないんだから‼︎」

「え…」


スミの奴…
やっぱり俺の携帯見たのか…


「それに地曽田社長は裕二と違って真面目なんだから!」

「なっ、何⁈」


裕二は思わずスミの手首を力強く握り、突き飛ばした。


「痛っ、何するの⁈」

「あっ…ご、ごめんっ」


スミは走って寝室に行った。


俺とした事が…
いや、でも地曽田と比較したスミが悪いんだ‼︎
いったい地曽田と2人でどこに行ってたんだ‼︎
よりによって地曽田なんかと…


ベッドに入ったスミは怒りが収まらなかった。


突き飛ばすなんて…許せない‼︎
裕二と違って私たちは何もないのに…
でも何でバイト先がわかったんだろ…
裕二の事だから、バイト辞めさせる為に何するかわからない…
地曽田グループの近くだから辞めさせるに決まってる…
店長いい人だし仕事も楽しいし、辞めたくない…

いったいどうすればいいの…







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