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第1章
19話 発覚
しおりを挟む翌日、アキは初めて遅刻した。
「すみません」
「いいよ。昨日頑張ってくれたんだろ?どうだった?上手く写真撮れた?」
「それが…その…」
「ん?」
「ホテルまで行けなかった…」
「え?じゃあ…」
「ごめんなさい。結構飲ませたのに全然酔わないし…私の方が酔ってしまった…」
「お前が酔ってどうするんだよ‼︎」
「はい…すみません」
「もういい。アキには頼らない」
「そんなこと言わないで。また何か考えるから」
「いいってば」
「じゃあ…いつも通り会ってくれる?」
「いいや、しばらく会わない」
「え?どうして⁈ひどい‼︎失敗したから?」
「そんなんじゃないけど…実は妻にバレたんだ。アキとの事」
「え⁈どうして⁈」
「会社の別荘に行った日の夜、俺とアキが外でキスしてるの見られたみたい」
「え⁈」
「一応シラ切ったけど、まだ疑ってる」
「いいじゃない。本当のこと言ったら?別れるチャンスじゃない!」
「とにかくアキとはしばらく会社以外では会わない」
「何それ‼︎ひどい‼︎失敗はしたけど裕二の為に頑張ったのに‼︎」
「別にこっちから頼んでないし!」
「あー、そう‼︎よくわかったわ‼︎」
アキは出て行こうとする。
「疲れてるだろうし、もう今日は帰っていいから」
「あー、そう言えば裕二の奥さんって今働いてる?」
「な、何で?」
「昨夜、地曽田グループの入り口で社長を待ってる時、近くのコーヒーショップのシャッターを奥さんが閉めてるの見たから」
「え?コーヒーショップ?」
「でも、旦那が社長してるのに奥さんが働く訳ないか…ただの見間違えだったのかな」
「そ、そうだよ」
「そうね。じゃ帰りまーす」
二日酔いのアキは帰って行った。
まさかスミの奴…
コーヒーショップでバイトしてるのか?
しかも地曽田グループの近くで…
いや、そんな訳ない…
裕二は自分に言い聞かせた。
その頃、スミが働くコーヒーショップにシュンがコーヒーを買いに来ていた。
「いつもの下さい」
「はい」
「スミさん、今夜スミさんの誕生日の時に行ったお店に行きませんか?」
「行きたいです!」
「じゃ、終わったら迎えに来ますね」
「はい!」
19時になり、スミは店を閉める準備をしていた。
アキからスミのことを聞いた裕二は気になって、スミが働くコーヒーショップの近くに車を停め中からお店の様子を伺っていた。
地曽田グループの近くのコーヒーショップって、ここしかないよな…
本当にこんなとこで働いてんのかよ…
アキの見間違いに決まってる…
するとスミがシャッターを閉める為に外に出て来た。
ス、スミ⁈マジか‼︎
アキの見間違いじゃなかったのか‼︎
こんなとこ早く辞めさせないと‼︎
裕二はただ、地曽田グループのすぐ近くという事が気に食わなかった。
裕二が近寄ろうとすると、1台の車が店の前に停まった。
裕二は車の中からしばらく見ていた。
すると、店を閉めたスミがその車に乗った。
え?いったい誰の車に乗ったんだ⁈
裕二の車の横を通り過ぎる時に運転手を見た裕二はショックを受けた。
地曽田⁈え⁈
どっ、どうしてスミがあいつの車に…
どういう事だよ!!
裕二はエンジンをかけ追いかけようとするが既に見失っていた。
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