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第1章
17話 対立
しおりを挟む翌日、裕二は会社に行き社長室で仕事をしているとアキが入って来た。
「本日取引先の金丸社長は14時にこちらへ来られるそうです」
「了解」
「大事な取引きなのでいい商談が出来たらいいですね」
「そうだね」
「ねぇ、今日は会えるでしょ?昨日会ってないし」
「今日はちょっと」
「えー、じゃ明日は?」
「明日も用事が…」
「ちょっと‼︎もしかして避けてる?」
「そんな事…ないよ」
「じゃ会ってよ」
「月末でちょっと忙しいから落ち着くまで待ってよ」
「んもぉ!あまり待たせないでよっ」
「うん…」
14時になり、取引き先の金丸社長が来た。
「金丸社長、こちらへどうぞ」
「ああ…」
金丸社長は渋い顔してソファーに座った。
「銀座の土地の件、考えて頂けました?」
「あ…ああ」
「場所も場所なのでそれなりの金額を考えています」
「その件だけど、別のとこに売ろうと思ってる」
「え⁈そんなっ、うちと契約するんじゃないんですか⁈」
「すまない。そのつもりだったけど正直言うと、柳本社長の会社よりそっちの会社の方が私の会社にとってプラスなんだよ」
「え…あんまりです」
「君はいくらで土地を買おうと思ってた?」
「うちは10億で…」
「その会社は30億と言っている」
「さ、30億⁈ですか⁈」
「それにその会社は大手だし安心感もある。だから今後はその会社と取引きをしようと思ってる」
「そ…そんな」
「そういう事だから、君の会社との取引きもここまでだ。柳本社長にはすまないと思っているよ」
「あの…その会社とは?」
「…地曽田グループだ」
そう言うと金丸社長は出て行った。
地曽田グループ…クソッ…
裕二はショックと怒りで壁を思い切り殴った。
裕二は足早に駐車場に向かい車に乗ると、地曽田グループへ向かった。
「社長に会いたいんだけど」
「お約束はされていますか?」
「してない。柳本と言います」
「少々お待ち下さい」
受付の女性は社長に内線を繋いだ。
「社長、柳本様という方がお見えですが」
「え…?」
「お約束はされてないみたいですが、どうされます?」
「通して」
「かしこまりました」
裕二はシュンの居る社長室のドアをノックした。
コンコン
「どうぞ」
裕二は怒りを抑えきれない表情で中へ入った。
「柳本社長、お久しぶりです。ここまで来られるなんてどうされました?」
「ちょっと聞きたい事が…」
「聞きたい事?僕にですか?まぁ座って下さい」
「いえ、ここでいいです」
「そうですか。で、聞きたい事って何ですか?」
「どうしてUCグループと取引きを」
「UCグループ?」
「はい。30億で土地を買うって」
「あ~、銀座の土地ですね。あそこは場所的にもすごく良いですからね。それが柳本社長と何の関係があるんですか?」
「UCグループはうちの取引先なのに、金丸社長はうちと取引きを辞めて、地曽田グループと取引きするって」
「えっ、そうだったんですか⁈それは申し訳ないです。こっちが横取りしたみたいになりましたね」
「…わざとだろ」
「え?わざと…?」
「初めから知ってて。それにこっちがそんなに金額出せないと思って30億で買うとか言ったんだろ⁈」
「ちょっ…ちょっと待って下さい。どうしてわざとなんですか⁈本当にそちらの取引先とは知りませんでしたし、30億で買うって言ったのもそれ位の価値があるからですよ」
裕二は何も言えず、シュンを睨みつけていた。
「それに、金丸社長が決めた事ですよね?」
「偉そうに…ふざけやがって…」
シュンは怒りを抑えていた。
「柳本社長は気が荒い性格の様ですが、家庭などに持ち込んだりしてないですよね?」
シュンはスミのことが心配になった。
「どういう事だよ」
「社長なら社長らしく、メリハリ付けた方がいいって事です」
「そんな事、言われる筋合いはない‼︎」
「そうですか。あの、そろそろいいですか?うちは今月決算で忙しいんです」
裕二はドアを思い切り強く閉め、出て行った。
地曽田の野郎!!
なめやがって!!
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