プラグマ 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

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第1章

4話 創立記念パーティー

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パーティー当日、スミは美容室に行って裕二と会場へ向かった。


「スミ、今日は一段とキレイだ。誰にも見せたくないよ」 

「えーっ、大袈裟だよ」


会場に着き、中へ入ると沢山の人がいた。


「すごい人数だね」

「う、うん」


そこに1人の中年男性が近づいて来た。


「大田会長!」

「久しぶり。柳本社長」

「お久しぶりです。あっ、僕の妻です」

「初めまして。柳本の妻です」

「また随分キレイな奥さんだね。柳本君が羨ましいよ」

「ハハハ…会長の奥様は?」

「あっちでSHYの会長婦人と話してるよ」

「SHYの会長も来られてるんですか⁈」


SHYとは、世界でも有名な大手不動産関係を手掛けている企業だ。


会場内が暗くなりステージに照明が当たると、地曽田グループの会長の挨拶が始まった。

挨拶が終わると一斉に拍手が沸き起こった。
続いて、会長の息子である社長の挨拶が始まった。


「あいつが社長か」

「裕二っ!」


「本日は地曽田グループの創立記念パーティーにお越し頂き、ありがとうございます。地曽田グループはこれからも上を目指し、世界トップになるように頑張りますので今後とも皆様、宜しくお願い致します。今日は楽しんで下さい」


盛大な拍手が飛び交い、社長は招待客に声をかけてまわった。


裕二は次々とシャンパンを飲み干す。


「ちょっと裕二、飲み過ぎだよ」

「別にいいだろ。スミも飲めよ」

「裕二…」


きっと気に食わないんだ…
大手の会長たちが大勢来ているし…


スミはあまり酒癖が良くない裕二のことが心配だった。


「裕二、私ちょっとお手洗いに行って来るね」

「ああ。早く戻って来いよ」

「うん…」


気持ちを切り替える為、スミは裕二と少し離れたかった。


あ~、早く帰りたい…
こんなかしこまった場所は苦手だわ…
裕二は機嫌悪いし…

スミはしばらくお手洗いで時間を潰した。


会場へ戻ると裕二は誰かと話していた。


「裕二…」

「スミ!遅かったな!」

「ご、ごめん」

「紹介します。私の妻です」

「あっ、初めまして」


よく見ると、紹介された相手は地曽田グループの社長だった。


さっき挨拶していた社長だ…


「初めまして」


シュンの優しい笑顔にスミは一瞬ドキッとした。


「すみません、こいつ人見知りなので」

「…こいつって…」

「社長の奥さんは紹介してくれないんですか?」

「あ、そこに居るから呼びますね。由希っ」


すると、背が高くスタイルの良いキレイな女性が来た。


「うわっ」


キ…キレイ…


「私の妻の由希です」

「どうも、初めまして。シュンの妻の由希です」

「は、初めまして」


裕二は由希に見惚れていた。


「TN社の社長の柳本さんだよ」

「あ~TN社の!社長さんなんですね。じゃあ、そちらは奥様ですか?」

「は、はい。妻の柳本スミと言います」

「ぼ、僕は柳本裕二と言います」

「そうですか。宜しくお願いします」

「こ、こちらこそっ」

「それでは、ごゆっくりしていって下さい」


そしてシュンと由希はその場を離れ、他のお客さんの所へ行った。


「おい見たか?社長の奥さんモデルみたいだったな~」

「そうね。裕二ってば鼻の下伸び過ぎだよ」

「そんな事ないし。それよりスミのヒール…もっと高いのにすればよかったのに」

「え?これでも10cmあるんだけど!履き慣れてないから痛いの我慢してるんだよ」

「そうなの?」


その時裕二の携帯が鳴り、裕二はその場を離れた。

スミは足が痛くなって通路の椅子に座った。


裕二はトイレに駆け込むと電話をかけ直した。
相手は秘書のアキだった。


同じタイミングでシュンもトイレに入った。


「もしもしアキ?」

「うん。まだ終わらないの?」

「うん、どうして?」

「会いたい」

「俺も会いたいよ」

「今から抜け出せない?」

「今から?」

「いつものホテルで待ってるから」

「わかった。すぐ行くよ」


裕二はトイレを出て会場へ戻った。


会話が聞こえていたシュンは、電話をしていた男性が走り去って行く後ろ姿を見て、すぐに裕二だと気づいた。












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