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第1章
2話 嘘の積み重ね
しおりを挟むベッドで寝ていたスミは、玄関が開く音で目が覚めた。
時計を見ると2時を過ぎていた。
裕二はそのままシャワーを浴び、ベッドに入って寝てしまった。
スミは何も言わずに寝たふりをしていた。
翌朝、朝食を並べていると裕二が起きて来た。
「おはよ」
「おはよう」
「昨日は何時頃帰って来たの?」
「んー、1時位だったかな~」
「そ、そう…」
「朝からご馳走だね。どうしたの?」
「昨日の夕食に作っていた物よ」
「あっ、もしかして」
「えっ?」
「昨日、バレンタインだったから?」
バレンタイン…?
本当に覚えてないんだ…
「それより、部下の人の失敗は解決したの?」
「え?」
「昨日それで遅くなったんでしょ?」
「あ、ああ。だ、大丈夫。解決したよ」
「社長って大変だね」
「まぁね。それと今日、新人社員の歓迎会するから夕食いらないから」
「わかった。何時から?」
「20時からかな…」
「明日も仕事だし2次会とかしないんでしょ?」
「…そうだね」
「じゃ、そこまで遅くはならないね」
「…うん。先に寝てていいから」
「…うん」
裕二は仕事に行った。
スミは何故かモヤモヤしていた。
夕方前、取り込んだ洗濯物を裕二の部屋に持って行くと、今日の日付が書いてある書類が机の上に置いてあった。
今日の日付だけど大丈夫なのかな…
スミは裕二に電話をするが出ない。
スミは裕二の会社まで持って行く事にした。
タクシーで30分程で会社に着き、受付に向かった。
「あの、柳本の妻ですが」
「しゃ、社長の奥様ですか?どうもこんにちは」
「今、どこに居ますか?」
「えっ、もう帰られましたけど」
「え?まだ17時ですけど…それに今日20時から歓迎会じゃ…」
「歓迎会…?」
「とりあえず、もう帰ったんですね」
「はっ、はい」
「わかりました」
「あっ、奥様。これ社長に渡して下さい。先ほど社長宛に届いた物です」
「はい。わかりました」
裕二が帰宅したと聞いたスミは急いで家に帰った。
「ただいまー」
反応がない。
「裕二?居ないの?」
裕二は帰ってなかった。
夕食はいらないと聞いたが、歓迎会が中止になって帰って来ると思い、夕食を作ることにした。
時間だけが過ぎ21時を回った。
裕二に電話をするが出ない。
何かあったのかも知れないと心配になったスミは、寝ずに裕二の帰りを待った。
23時、玄関のドアが開いた。
スミは慌てて玄関へ行った。
「ス、スミ」
「裕二‼︎何してたの⁈心配したんだから‼︎」
「え…?何してたって…歓迎会だけど」
え…?
「言っただろ、今日は歓迎会だから遅くなるって」
「20時からでしょ?それまで何してたの?」
「何って…仕事だけど」
「嘘つき!17時頃裕二の会社に行ったんだけど‼︎」
「え⁈な、何で⁈」
「書類を忘れてたみたいだから届けに行ったのよ。受付の人が裕二はもう帰ったって言ってた」
「ハハハ…取引先に行ってたから、受付は帰ったと思ったんだろうねっ」
「じゃあ会社に戻らず、そのまま歓迎会に行ったの?」
「う、うん。そうだよ」
「…ふーん」
「なっ何だよ。疑ってるのか⁈」
「そんなんじゃないけど…」
「もういい?シャワー浴びたいんだけど」
「あっ、うん」
裕二は逃げるように浴室へ行った。
裕二は仕事を早く切り上げ、秘書のアキとホテルに行っていたのだ。
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