32 / 45
32 知られてしまった
しおりを挟む休みはあっという間に終わり4日、仕事始めの日は挨拶回りで終わった。
翌日は早速、会社の新年会があり店を貸し切ってみんなで飲み始めた。
陸の隣には和が座り向かいの席には広川と安井が座っていた。
「陸さん、あれ食べます?」
「うん」
和は皿に料理を取り陸に渡した。
「ありがとう。和、これ食うか?」
「はいっ…ありがとうございます」
「お前ら下の名前で呼び合ってるのかよ」
「えっ…あ…うん」
「本当仲いいな~」
安井の横で広川は陸と和をずっと見ていた。
「お前たち、家家には帰ったんだろ?」
「僕は…ちょっと事情があって帰ってません」
「そうか。佐田は帰ったんだろ?毎年帰ってるもんな」
「いや…今年は帰らなかった」
「そうなの?珍らしい」
ずっと黙っていた広川が口を開いた。
「帰らなくて何してたんだ?」
「は?何してたって…」
「大村っ、事情って何だよっ⁈」
「それは…」
「大村も色々あるんだよ!いちいち聞くなよ」
「色々って何だよ」
「何だっていいだろ!しつこいぞっ」
「何で佐田がムキになるんだ?」
「別にムキになってないし」
「広川、別にいいじゃないか」
「チッ」
広川…相変わらずムカつく奴だ…
しかし…お湯割り飲んでるせいか…
暑くなってきたな…
陸がネクタイを緩め1番上のボタンを外すと広川がネックレスに気づいた。
「お前、ネックレス着けてるのかよ」
「あ、これか?」
「ネックレスとか着ける奴だったか?よく見せてみろよ」
「え…ああ」
広川…今日はやけに絡んでくるな…
「男のくせにネックレスだなんて」
「別にいいだろ」
「そうだよ。広川…今日は特に感じ悪いぞ」
「うるせー」
「僕、お手洗いに行ってきます」
「あ…うん」
「オレも行ってこよ~」
広川まで…
何か嫌な予感がする…
「ったく…広川、気に食わないことでもあったのかなぁ」
「オレに突っかかってくるし…オレのことが気に食わないんじゃないの?」
その頃トイレを済ませて手を洗っていると広川が和の横に来た。
「広川さん…」
「正月、何してたんだ?」
「え」
「お前ら実家に帰らなかったんだろ?」
「そうですけど…」
「ずっと家にいたのか?」
「…はい。どうしてそんなこと聞くんですか?」
「オレ暇だったからさ。酒でも持って行けばよかった」
「あ~そうだったんですか」
あれっ…?大村の首…
何か光ってるぞ…ネックレスか…?
「大村っ、ちょっと首見せてみろよ」
「えっ?どうしてですかっ?」
「見せてみろって」
広川は和の襟を捲ろうとした。
「やめて下さいっ」
「いいだろ」
すると陸が来て広川の腕を掴んだ。
「やめろって!嫌がってるだろ‼︎」
「陸さんっ」
「佐田、お前何しに来た⁈」
「何しにって…用足しに来たんだよ」
「お前、トイレ済んだんなら早く戻れよ」
「オレを早く戻らせて、お前ら2人でいちゃついたりでもするのかよ?」
「え…」
「えっ…」
「おっ…お前…何言ってんのっ⁈」
「オレ…見ちゃったんだよね~」
「…何…を」
「1日の日◯◯神社に行っただろ」
「えっ…」
「オレも◯◯神社に行ったんだよね~」
「そっ…そっか」
ヤベ…手を繋いでた…
いや…でもすごい人だったし…
手を繋いでたのは見えてないよなっ…
「お前ら…付き合ってんの?」
「えっ⁈なっ何でだよ‼︎初詣に一緒に行っただけで何でそうなるんだよ‼︎」
「そうですよ…付き合ってるだなんて…」
「ふーん。じゃ何で手を繋いでたの」
えっ…バレてた…
陸と和は一気に顔が青ざめた。
その隙に広川は和の襟を捲りネックレスを見た。
「えっ」
「やっぱりネックレス着けてた。佐田と同じネックレスじゃん。マジかよ」
マジか…
陸は何も言えなくなった。
8
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
警察官は今日も宴会ではっちゃける
饕餮
恋愛
居酒屋に勤める私に降りかかった災難。普段はとても真面目なのに、酔うと変態になる警察官に絡まれることだった。
そんな彼に告白されて――。
居酒屋の店員と捜査一課の警察官の、とある日常を切り取った恋になるかも知れない(?)お話。
★下品な言葉が出てきます。苦手な方はご注意ください。
★この物語はフィクションです。実在の団体及び登場人物とは一切関係ありません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私の大好きな彼氏はみんなに優しい
hayama_25
恋愛
柊先輩は私の自慢の彼氏だ。
柊先輩の好きなところは、誰にでも優しく出来るところ。
そして…
柊先輩の嫌いなところは、誰にでも優しくするところ。
Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ
慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。
その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは
仕事上でしか接点のない上司だった。
思っていることを口にするのが苦手
地味で大人しい司書
木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)
×
真面目で優しい千紗子の上司
知的で容姿端麗な課長
雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29)
胸を締め付ける切ない想いを
抱えているのはいったいどちらなのか———
「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」
「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」
「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」
真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。
**********
►Attention
※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです)
※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。
※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる