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32 知られてしまった
しおりを挟む休みはあっという間に終わり4日、仕事始めの日は挨拶回りで終わった。
翌日は早速、会社の新年会があり店を貸し切ってみんなで飲み始めた。
陸の隣には和が座り向かいの席には広川と安井が座っていた。
「陸さん、あれ食べます?」
「うん」
和は皿に料理を取り陸に渡した。
「ありがとう。和、これ食うか?」
「はいっ…ありがとうございます」
「お前ら下の名前で呼び合ってるのかよ」
「えっ…あ…うん」
「本当仲いいな~」
安井の横で広川は陸と和をずっと見ていた。
「お前たち、家家には帰ったんだろ?」
「僕は…ちょっと事情があって帰ってません」
「そうか。佐田は帰ったんだろ?毎年帰ってるもんな」
「いや…今年は帰らなかった」
「そうなの?珍らしい」
ずっと黙っていた広川が口を開いた。
「帰らなくて何してたんだ?」
「は?何してたって…」
「大村っ、事情って何だよっ⁈」
「それは…」
「大村も色々あるんだよ!いちいち聞くなよ」
「色々って何だよ」
「何だっていいだろ!しつこいぞっ」
「何で佐田がムキになるんだ?」
「別にムキになってないし」
「広川、別にいいじゃないか」
「チッ」
広川…相変わらずムカつく奴だ…
しかし…お湯割り飲んでるせいか…
暑くなってきたな…
陸がネクタイを緩め1番上のボタンを外すと広川がネックレスに気づいた。
「お前、ネックレス着けてるのかよ」
「あ、これか?」
「ネックレスとか着ける奴だったか?よく見せてみろよ」
「え…ああ」
広川…今日はやけに絡んでくるな…
「男のくせにネックレスだなんて」
「別にいいだろ」
「そうだよ。広川…今日は特に感じ悪いぞ」
「うるせー」
「僕、お手洗いに行ってきます」
「あ…うん」
「オレも行ってこよ~」
広川まで…
何か嫌な予感がする…
「ったく…広川、気に食わないことでもあったのかなぁ」
「オレに突っかかってくるし…オレのことが気に食わないんじゃないの?」
その頃トイレを済ませて手を洗っていると広川が和の横に来た。
「広川さん…」
「正月、何してたんだ?」
「え」
「お前ら実家に帰らなかったんだろ?」
「そうですけど…」
「ずっと家にいたのか?」
「…はい。どうしてそんなこと聞くんですか?」
「オレ暇だったからさ。酒でも持って行けばよかった」
「あ~そうだったんですか」
あれっ…?大村の首…
何か光ってるぞ…ネックレスか…?
「大村っ、ちょっと首見せてみろよ」
「えっ?どうしてですかっ?」
「見せてみろって」
広川は和の襟を捲ろうとした。
「やめて下さいっ」
「いいだろ」
すると陸が来て広川の腕を掴んだ。
「やめろって!嫌がってるだろ‼︎」
「陸さんっ」
「佐田、お前何しに来た⁈」
「何しにって…用足しに来たんだよ」
「お前、トイレ済んだんなら早く戻れよ」
「オレを早く戻らせて、お前ら2人でいちゃついたりでもするのかよ?」
「え…」
「えっ…」
「おっ…お前…何言ってんのっ⁈」
「オレ…見ちゃったんだよね~」
「…何…を」
「1日の日◯◯神社に行っただろ」
「えっ…」
「オレも◯◯神社に行ったんだよね~」
「そっ…そっか」
ヤベ…手を繋いでた…
いや…でもすごい人だったし…
手を繋いでたのは見えてないよなっ…
「お前ら…付き合ってんの?」
「えっ⁈なっ何でだよ‼︎初詣に一緒に行っただけで何でそうなるんだよ‼︎」
「そうですよ…付き合ってるだなんて…」
「ふーん。じゃ何で手を繋いでたの」
えっ…バレてた…
陸と和は一気に顔が青ざめた。
その隙に広川は和の襟を捲りネックレスを見た。
「えっ」
「やっぱりネックレス着けてた。佐田と同じネックレスじゃん。マジかよ」
マジか…
陸は何も言えなくなった。
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