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30 好き過ぎて…
しおりを挟む火がついてしまった陸は次の日もその次の日も和に対してキス魔になっていた。
そして仕事納めも終わり大晦日、2人は家で年越しそばを食べていた。
「こうしてちゃんとした年越しそば食べるの何年ぶりだろ」
「和は実家に帰らないって言ってたけど毎年帰ってないの?」
「はい」
「どうして?」
「それは…」
「あー…言いたくなかったらいいよ」
「僕、家族いないから」
「え」
「僕が中学生の時…部活で帰るのが夜遅くなって…両親と兄が車で学校に迎えに来てくれてたんです。その日は僕の誕生日でお店予約してくれてたので。それで…迎えに来る途中に居眠り運転の大型トラックに巻き込まれて…」
えっ…
「だから僕には家族がいませんので…実家もありません」
「ごっ…ごめん。オレ何も知らずに…思い出させてしまってごめんな」
「いいえ…大丈夫です。でも…」
「どした?」
「だから自分の誕生日が嫌なんです。誕生日がくる度思い出すから…」
「…確か4月…だったよな…4月10日」
「…はい」
「そうか…そうだよな…思い出すよな」
「はい」
「思い出せばいいよ」
「え…」
「オレが横にいるから誕生日を嫌がるな」
「陸さん…」
陸は和の膝に頭をのせた。
「膝枕ですか~陸さん…最近変わりましたねっ」
「そっかー?」
「はい。何だか甘えん坊になりました」
確かに前のオレじゃ考えられない…
でも和のことが好き過ぎるんだ…
「ところで陸さんは実家にはいつ帰るんですか?明日は僕と初詣に行くんでしょ?じゃ明後日帰るんですか?」
「ううん。帰らない」
「えっ…でも毎年帰ってたんじゃ?」
「そうだけど…和とずっと一緒にいたいから」
和は顔を赤くして恥ずかしそうに下を向いた。
「和って…」
「えっっ」
「何でそんなに可愛いの?」
「ちょっ…ちょっとやめて下さい。可愛いだなんてっ」
「いや…マジで可愛いんだけど」
陸は和の頭を撫でる。
「よしよし」
「んも一、陸さんっ」
「オレ…和のことが可愛くて仕方ないんだ。和はオレのことどう思ってる?」
「どうって…ちょっと前までは恥ずかしがり屋で硬派でカッコいいって思ってましたけど…」
「…たけど?」
「だけど最近の陸さん見てると…僕も陸さんのこと可愛いって思っちゃいます」
陸は顔が真っ赤になった。
「ほらっ!可愛い」
「やめろよ~可愛いだなんてっ」
「めちゃ可愛いっ」
「おいっ!でも…嬉しいよ」
陸は唇を尖らせた。
「何ですかっ」
「ほらっ」
キスアピールか…陸さん可愛い…
和は陸に軽くキスをした。
すると陸は和の膝枕から起き上がり何度も和にキスを求めた。
「りっ…陸さんっ‼︎」
「ん?」
「あと1分で今年も終わりますよ」
「あっ本当だ」
そして…
3・2・1…
ハッピーニューイヤー!!
「陸さん今年もよろしくお願いしますっ」
「こちらこそ…よろしく」
和がオレの働く会社に入社して…まさか付き合うなんて思ってもみなかった…
しかも男となんか…
でも…今思ってみると男も女も関係ない…
オレは和のことが好きだ…
これからもずっと…
だからずっと一緒にいたい…
和…オレと出会ってくれてありがとう…
2人は今までで1番長いキスをしてこの日は終わった。
キス以上のことは無いにしても2人にとってそれだけで充分幸せだった。
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※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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