Pure love 〜純粋な恋愛〜【完結】

真凛 桃

文字の大きさ
上 下
30 / 45

30 好き過ぎて…

しおりを挟む

火がついてしまった陸は次の日もその次の日も和に対してキス魔になっていた。
そして仕事納めも終わり大晦日、2人は家で年越しそばを食べていた。


「こうしてちゃんとした年越しそば食べるの何年ぶりだろ」

「和は実家に帰らないって言ってたけど毎年帰ってないの?」

「はい」

「どうして?」

「それは…」

「あー…言いたくなかったらいいよ」

「僕、家族いないから」

「え」

「僕が中学生の時…部活で帰るのが夜遅くなって…両親と兄が車で学校に迎えに来てくれてたんです。その日は僕の誕生日でお店予約してくれてたので。それで…迎えに来る途中に居眠り運転の大型トラックに巻き込まれて…」


えっ…


 「だから僕には家族がいませんので…実家もありません」

「ごっ…ごめん。オレ何も知らずに…思い出させてしまってごめんな」

「いいえ…大丈夫です。でも…」

「どした?」

「だから自分の誕生日が嫌なんです。誕生日がくる度思い出すから…」

「…確か4月…だったよな…4月10日」

「…はい」

「そうか…そうだよな…思い出すよな」

「はい」

「思い出せばいいよ」

「え…」

「オレが横にいるから誕生日を嫌がるな」

「陸さん…」


陸は和の膝に頭をのせた。


「膝枕ですか~陸さん…最近変わりましたねっ」

「そっかー?」

「はい。何だか甘えん坊になりました」


確かに前のオレじゃ考えられない…
でも和のことが好き過ぎるんだ…


「ところで陸さんは実家にはいつ帰るんですか?明日は僕と初詣に行くんでしょ?じゃ明後日帰るんですか?」

「ううん。帰らない」

「えっ…でも毎年帰ってたんじゃ?」

「そうだけど…和とずっと一緒にいたいから」


和は顔を赤くして恥ずかしそうに下を向いた。


「和って…」

「えっっ」

「何でそんなに可愛いの?」

「ちょっ…ちょっとやめて下さい。可愛いだなんてっ」

「いや…マジで可愛いんだけど」


陸は和の頭を撫でる。


「よしよし」

「んも一、陸さんっ」

「オレ…和のことが可愛くて仕方ないんだ。和はオレのことどう思ってる?」

「どうって…ちょっと前までは恥ずかしがり屋で硬派でカッコいいって思ってましたけど…」

「…たけど?」

「だけど最近の陸さん見てると…僕も陸さんのこと可愛いって思っちゃいます」


陸は顔が真っ赤になった。


「ほらっ!可愛い」

「やめろよ~可愛いだなんてっ」

「めちゃ可愛いっ」

「おいっ!でも…嬉しいよ」


陸は唇を尖らせた。


「何ですかっ」

「ほらっ」


キスアピールか…陸さん可愛い…


和は陸に軽くキスをした。
すると陸は和の膝枕から起き上がり何度も和にキスを求めた。


「りっ…陸さんっ‼︎」

「ん?」

「あと1分で今年も終わりますよ」

「あっ本当だ」


そして…


           3・2・1…


ハッピーニューイヤー!!


「陸さん今年もよろしくお願いしますっ」

「こちらこそ…よろしく」


和がオレの働く会社に入社して…まさか付き合うなんて思ってもみなかった…
しかも男となんか…
でも…今思ってみると男も女も関係ない…
オレは和のことが好きだ…
これからもずっと…
だからずっと一緒にいたい…
和…オレと出会ってくれてありがとう…


2人は今までで1番長いキスをしてこの日は終わった。


キス以上のことは無いにしても2人にとってそれだけで充分幸せだった。








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

そこは優しい悪魔の腕の中

真木
恋愛
極道の義兄に引き取られ、守られて育った遥花。檻のような愛情に囲まれていても、彼女は恋をしてしまった。悪いひとたちだけの、恋物語。

警察官は今日も宴会ではっちゃける

饕餮
恋愛
居酒屋に勤める私に降りかかった災難。普段はとても真面目なのに、酔うと変態になる警察官に絡まれることだった。 そんな彼に告白されて――。 居酒屋の店員と捜査一課の警察官の、とある日常を切り取った恋になるかも知れない(?)お話。 ★下品な言葉が出てきます。苦手な方はご注意ください。 ★この物語はフィクションです。実在の団体及び登場人物とは一切関係ありません。

私の大好きな彼氏はみんなに優しい

hayama_25
恋愛
柊先輩は私の自慢の彼氏だ。 柊先輩の好きなところは、誰にでも優しく出来るところ。 そして… 柊先輩の嫌いなところは、誰にでも優しくするところ。

Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ 慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。    その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは 仕事上でしか接点のない上司だった。 思っていることを口にするのが苦手 地味で大人しい司書 木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)      × 真面目で優しい千紗子の上司 知的で容姿端麗な課長 雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29) 胸を締め付ける切ない想いを 抱えているのはいったいどちらなのか——— 「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」 「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」 「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」 真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。 ********** ►Attention ※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです) ※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。 ※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

優しい紳士はもう牙を隠さない

なかな悠桃
恋愛
密かに想いを寄せていた同僚の先輩にある出来事がきっかけで襲われてしまうヒロインの話です。

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

Home, Sweet Home

茜色
恋愛
OL生活7年目の庄野鞠子(しょうのまりこ)は、5つ年上の上司、藤堂達矢(とうどうたつや)に密かにあこがれている。あるアクシデントのせいで自宅マンションに戻れなくなった藤堂のために、鞠子は自分が暮らす一軒家に藤堂を泊まらせ、そのまま期間限定で同居することを提案する。 亡き祖母から受け継いだ古い家での共同生活は、かつて封印したはずの恋心を密かに蘇らせることになり・・・。 ☆ 全19話です。オフィスラブと謳っていますが、オフィスのシーンは少なめです 。「ムーンライトノベルズ」様に投稿済のものを一部改稿しております。

ハメられ婚〜最低な元彼とでき婚しますか?〜

鳴宮鶉子
恋愛
久しぶりに会った元彼のアイツと一夜の過ちで赤ちゃんができてしまった。どうしよう……。

処理中です...