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29 キス
しおりを挟むこの日、買い物を済ませて帰った2人は家で映画を見たりしてのんびり過ごしていた。
夕食が終わり2人はソファーに座ってビールを飲んでいた。
「今日は充実した1日でしたねー」
「だね。映画もおもしろかったな」
「はいっ」
「あー明日からまた仕事かぁ…」
「でもあと7日頑張れば連休ですよ」
「そうだな。早いな~もうすぐ今年も終わりかぁ~」
「その前にクリスマスがありますね」
「クリスマスか…」
一応付き合ってるんだし…
プレゼント用意しといた方がいいよな…
何がいいんだろ…
「どうします?ケーキ買って家で過ごしますか」
「オレたちにとって初めてのクリスマスだし…外食してイルミでも見に行こうか」
「いいですねっ」
「よーし決まりっ!店はオレがどこか探して予約しておくから任せて」
「ありがとうございますっ」
クリスマス…明後日か…
プレゼント何にしよう…
明日にでも買いに行っとかないとな..
指輪じゃおかしいし…てか重いし…
女ならピアスとかでもいいんだろうけど…
男だしなぁ…あ~悩むなぁ…
それぞれのベットに入って和が寝た後も陸は悩んで眠れなかった。
クリスマス当日、仕事が終わった2人はイタリアンレストランに行った。
「素敵なお店ですね」
「ここでよかった?」
「はいっ。嬉しいですっ」
「よかった」
それにしてもさすがクリスマス…
カップルだらけだ…
男2人でいるのはオレたちだけだ…
何か変な目でジロジロ見られてるし…
「陸さん?」
「えっ」
「周り気になります?男2人で来て恥ずかしいですか?」
「そっ…そんなこと」
「僕は全然気になりません」
そうだな…せっかく2人で来てるんだ…
人は人…気にしちゃダメだ…
「うん。和…乾杯しよう」
「はいっ」
「メリークリスマス」
そして食事を終え店を出てイルミネーションを見に行った。
「うわ~すごいキレイですねー」
「うん」
しかし…すごい人だ…
こんな人だらけの所では渡せない…
あっ…あそこなら…人通り少ないはず…
「和っ…あっちに行こう」
「えっ…はい…」
陸は人ごみから外れた道へと歩いて行き誰もいない公園に入って行った。
「公園…ですか」
「…うん」
「イルミネーション見ないんですか?」
「ちゃんと見えるよ」
「え?」
和は周りを見渡す。
「どこです?」
「上…見て」
「上?」
すると高層ビルにクリスマスツリーのネオンが光っていた。
「えっ」
「キレイに見えるでしょ?ここからが1番よく見えるんだ」
「はいっ!すごいですっ!でもよく知ってますね」
「…昨日下見に来たから」
「下見?あっ…だから昨日帰り遅かったんですね」
「うん…」
「…ありがとうございます」
「それと…これ」
「え?」
陸は和の後ろへ回りネックレスをつけた。
「こっ…これ」
「何がいいか悩んだけど…和に似合いそうだったから。クリスマスプレゼントだよ」
「りっ…陸さん」
陸は自分の着けているネックレスを見せた。
「それ…お揃いっ」
「本当だっ!めちゃ嬉しいですっ!ありがとうございますっ。大事にしますっ」
喜んでくれたみたいでよかった…
すると和はカバンから何かを取り出した。
「陸さん…これは僕からです」
「えっ…和から⁈」
「大したものじゃないですけど…陸さんに似合うかなって思って」
箱を開けるとネクタイだった。
マジか…
和もプレゼント用意してくれてたなんて…
ヤバイ..抱きしめたいっ…
「陸…さん?気に入らなかったです….よね?」
「えっ⁈そんなっ、気に入ったよ!めちゃくちゃ嬉しい‼︎和っ…ありがとうっ」
「本当ですかっ!よかったー。実は陸さんへのクリスマスプレゼント何にしようかってずっと悩んでて…」
和も悩んでたんだ…
「昨日外まわりの時…お店に入ったら陸さんにすごく似合いそうなネクタイ見つけてこれにしようって。ネクタイは毎日身につけるしいいかなって思って…」
か…可愛い…
嬉しそうに話す和には見惚れていた。
「陸さんからもプレゼント頂けるなんて幸せですっ。肌身離離さず着けておきますっ」
無理だっ…
陸は和を抱きしめた。
「えっ」
そして2人は見つめ合い陸は顔を近づけキスをした。
2人にとって付き合って初めてのキスだった。
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