Pure love 〜純粋な恋愛〜

真凛 桃

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17 和の告白

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「先輩…いいんですか?」

「うん。本当…疲れるよ」

「先輩、飲みます?」

「うん。飲み直そう」

「はいっ」


ミクがいなくなって急に空気が変わった。


「大村…ごめんな。まさかミクが来るなんて」

「いいですよ。22歳って聞いて驚きましたけど。先輩、若い子が好きなんですか?」  

「別に若い子が好きとかじゃないし」 

「でも…積極的な子ですね」

「だろ。疲れるのわかるだろ?」

「でも…付き合ってるんですよ?」

「ま…まぁそうだけど。そのうち慣れるのかなぁ」

「先輩次第でしょうね」

「はぁー…あ、そういえばミクが来る前に何か言いかけたろ?何だったの?」

「あ…もうちょっとしたら話します」

「何だよ。もったいぶって。余計気になるわ」

「それより…先輩って結婚願望ないんですね」

「…うん。女と一緒に住むのも疲れるのに、それが一生となると…考えられない」

「女性が嫌いってわけじゃないんでしょ?」

「そうだけど。オレは一生1人でいいかな」

「先輩みたいないい男が…何かもったいないですね」

「大村みたいな彼女だったら結婚してもいいんだろうな~」 

「え」


え…オレ…何てことを…


「ハハハ…ただお前といると気ぃ使わなくていいし、疲れないしな。あ…でもお前は男だからな。ハハハ…」

「…そっ…そうですね…」


2人は黙ってワインを飲んだ。


「でも…そんなふうに言ってくれて嬉しいです」

「おっ、お前は結婚願望ないのかよ」

「僕も…ありません」

「まぁまだ若いしな」

「そんなんじゃなくて、自分も一生独身でいいです」

「そうなの⁈」

「先輩…もっと強いお酒あります?」

「強い酒?ウォッカならあるけど…」

「もらっていいですか?」

「ウォッカ飲むの⁈どうした急に」

「ちょっと酔いたくて」

「いいけど…大丈夫か?」


陸がウォッカとグラスを和の前に置くと、和はグラスに注ぎ一気に飲んだ。


「まぁ、明日は休みだからいいけど…ゆっくり飲めよ」


1時間後、和はウォッカをかなり飲みいい感じに酔っ払った。


「大村がそこまで飲むとはなー。酔ってるだろ?」

「はい…」

「もうやめとけ。水飲むか?」

「先輩…」

「どうした?」

「僕が言いかけたこと…聞きたいですか?」

「あっ…うん。聞きたい」

「今なら言えるような気がします」

「何っ?」

「先輩に話したら…引くと思います」 

「何だよ」

「嫌われる覚悟で言いますね」

「何か聞くの怖いんだけど…お前、オレに何かしたの?」

「先輩にしたことって言えば…僕の歓迎会の時…」

「歓迎会の時?」

「…キス」


えっ…キスって…アレって大村から…?
事故じゃなかったのか…⁈
それに大村…覚えてたんだ…⁈


「な…何言ってる?あー、あの時お前かなり酔い潰れてたもんなー」

「僕からキスしたんです」

「え…」


どういうことだよ…


「先輩…」

「はっ…はい!」

「僕…先輩のこと…」


えっ…まさか…


「好きなんです」


マ…マジかよ…
嘘だろ…大村はオレのことが好き…⁈


「ちょっ…ちょっと待って。好きって…先輩として…だよ…ね?」

「、、、、」

「おっ、大村?」

「…いえ。僕…先輩に…恋してます」

「こっ…恋…っ?」

「やっぱり引きましたよね?男が男に恋だなんて…」


陸は突然の告白に頭が真っ白になった。


「すみませんっ、僕帰りますっ」


和は足早に帰って行った。


陸はただ呆然とその場に立っていた。





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