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8 複雑な気分
しおりを挟む翌朝、陸が駐車場に行くと先に和が待っていた。
「おはようございます」
「おはよっ」
車を出し会社へ向かった。
「先輩…昨日は態度悪くてすみませんでした」
「そうだよ」
「…すみません」
「もうオレの友達には会わせない。大村がそこまで人見知りだとは思わなかったし、気を使うのも疲れるし」
「…はい」
「まぁでもオレが無理に連れて行ったからな。ごめんな」
「そんな…謝らないで下さい」
「よしっ、じゃあ今日の夜は寿司でも取るかっ」
「いいですねっ」
「今日は内勤だから早く上がろうな」
「はいっ」
会社に着くと2人はそれぞれの席につき仕事を始めた。
お昼になり社員たちは続々とランチに出かけて行った。
「佐田さんと大村くん、私たちお寿司のランチに行くんですけど一緒にどうですか?」
陸と和は顔を見合わせた。
「オレたちは別のところに行くからまた今度」
「そうなんですね~残念」
「お2人本当に仲がいいですね。今度は一緒にランチしに行きましょうね」
「うん…」
社員たちは食事に出かけ、社内は陸と和だけになった。
「今日に限ってお寿司ランチかよ」
「何食べに行きます?」
「何食べたい?」
「会社の食堂にしましょうか」
「そうだな」
2人は食堂へ行き、昼食を済ませるとみんなより一足早く戻った。
しばらくして出かけていた社員たちが戻ってきた。
すると女性社員が和のデスクに来た。
「大村くん、今日仕事終わって空いてる?」
「えっ…どうしてですか?」
「会社の近くにいい店があるんだけど食事に行かない?」
「え…今日ですか…?」
和は隣で聞いている陸を見た。
「うん。予定ある?」
「…そっ…そうですね…」
「予定あるなら仕方ないかっ」
「いえっ、大丈夫ですっ」
陸は耳を疑った。
「本当にっ⁈やったー。じゃあまた後でねっ」
女性社員は喜んで自分の席に戻った。
和が横を見ると陸が横目で睨んでいた。
「すっ…すみません。そういうことなので今日は…」
「別にいいけど。オレはもう寿司モードだから1人で食べるよ」
「どうせ長くても2時間だろうし終わったら先輩のとこ行きます。僕もお寿司食べたいので少し残しててくださいっ」
「そっか。わかった」
すると、男性社員が陸の所へ来て耳元で小さな声で話した。
「大村くん、今日告白されるかもです」
「えっ、そっ…そうなの?」
「さっきランチの時、女性社員たちが話しているのが聞こえたんです。本気で大村くんのこと好きみたいです」
「そっ…そう」
「うちの営業部からカップル誕生するかもですねっ」
そう言うと男性社員は自分の席に戻っていった。
「先輩っ、何こそこそ話してたんですか?」
「あっ…いや別に」
大村には今、彼女はいない…
大村を好きな田村さんも大村と年近いし、明るいし、顔も可愛い方だし…
告白されたら付き合うだろうな…
陸はなぜか複雑な気分だった。
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