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49話 チスンの確信
しおりを挟む翌日、久美子は退院し3人でマンションに帰った。
「パパー、ゲームしていい?」
「うん。いいよ」
ジスンは自分の部屋に行った。
「クミ、ここに座って」
「…うん」
「俺…ドラマの内容のことで疑われたと思ってた」
「え…」
「他にあるんだよね?」
「う、うん…」
「ジスさんの携帯の写真、見たんじゃない?」
久美子は頷いた。
「やっぱり…俺も一昨日見てしまって驚いた。あんなの見たら信じられなくなるよね」
「当たり前じゃない‼︎どう信じろって言うの⁈」
「俺、クミを裏切ると思う?」
「あんな写真見たら…」
「俺は何もしてないよ。酔ってもないし、例え酔ってたとしても何もしない。何よりも、クミに信じてもらえなかったことが1番ショックだった…」
「だって…」
「だから、ハッキリさせる為にジスさん呼んだから」
「え⁈ジスさんが来るの⁈」
「嫌だろうけど…このままクミに疑われたくない」
「…チスン」
「それに、昔も色々あったけど2度とクミを悲しませたくない。クミにはいつも笑っていて欲しいから」
1時間後、予定通りジスが来た。
久美子はジスの顔をまともに見ることが出来なかった。
「…あの」
「座って」
「は、はい…」
「ジスさん、もう1度聞くけどあの写真は何?」
「なっ、何って…あの夜一緒に過ごした時の…」
「何でそんな嘘!」
「好きなんです‼︎チスンさんのことが好きで好きでたまらない‼︎それに嘘なんかじゃありません」
しばらく沈黙が続いた。
そこに、ゲームをし終えたジスンが部屋から出て来た。
「パパー、もうゲームやめたぁ」
「え⁈パパ?」
久美子が慌ててジスンを部屋に連れて行こうとすると、チスンが引き止めた。
「クミ、いいから…ジスン、おいで」
「うん」
「あの…この子は…?」
「俺とクミの子供だよ」
「う、嘘でしょ…子供?」
「今、クミのお腹には2人目がいる」
ジスはショックのあまり言葉を失った。
「ジスさん…ひとつ聞くけど、あの日ゆず茶をくれたよね?」
「は…はい…」
「何か混ぜたでしょ?考えられるのはこれしかないんだけど…睡眠薬」
え…
「睡眠薬⁈」
「違う?」
「…ま、まさかぁ、そんなこと…」
ジスの動揺した姿を見て、チスンは確信した。
「俺に好意を持ってくれてるのは有難いけど、俺はクミ以外一切興味ないから。例えクミから愛想尽かされても、一生死ぬまでクミのことを愛しているし、この気持ちだけは変わらない…」
チスン…
「だから…ジスさんと俺に何もなかったって自信持って言える。絶対にないから!」
ジスは深く息を吐いた。
「そうですよ。睡眠薬入れました。さすがチスンさん。絶対バレないと思ったのに…チスンさんを振り向かせる為には彼女が邪魔だったから別れて欲しかった。もう少しだったのに…でも、まさか子供がいたなんて‼︎」
2人のやり取りを聞いていた久美子は、ジスの頬を思いきり引っ叩いた。
「な、何するんですか⁈」
「あなたのせいで私は…私はチスンを疑った。チスンを傷付けてしまったじゃない!!」
「クミ!落ち着いて!もういいから」
「だって…だって…」
泣き出した久美子にジスンが抱きつく。
「ジスさん、もう2度と会うことはないから。帰ってくれる?」
「…チスンさん、私やっぱりチスンさんのこと…」
「いいから、もう帰って!!」
「ごめんなさい…」
そう言うとジスは帰って行った。
チスンは久美子を抱きしめ、気持ちを落ち着かせる。
「クミ…ごめんね」
「謝るのは私の方だよ。チスン…疑ったりして、ごめんなさい…」
「クミ」
チスンは力いっぱい久美子を抱きしめた。
そしてDVDを全部捨てた。
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