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最終章
最終話 奇跡
しおりを挟む翌日マリは17時30分の飛行機に乗るため2時間前に空港に行き、椅子に座っていた。
もうソウルに来る事はない…
テグ…
私、テグのファンを続けられない…
辛いから…ごめんね。
マリは着けているテグの腕時計を外し、バックに入れた。
時間が迫り、マリは搭乗口へ向かう。
マリは歩きながら、テグとの思い出を振り返っていた。
テグって初めは軽い感じだったな…
でも、すごく優しかった…
気を遣って公園にも連れて行ってくれたし…
あのベンチも大きくて感動したな…
年越しの飲み会もすごい人たちと飲んで楽しかったな…
テグ、本当にありがとう…
さようなら…
するとマリの横を通り過ぎた小さな女の子がぬいぐるみを落とした。
気付いたマリはぬいぐるみを拾い、女の子を呼び止めた。
「落としたよ。はい」
マリは女の子に目線を合わせ、ぬいぐるみを渡した。
「ありがとう」
ぬいぐるみを受け取った女の子は手を振って行った。
マリが立ち上がり歩き出そうとしたら、誰かが腕を掴んだ。
え?
振り向くと、そこにはテグが立っていた。
テ…テグ…?
テグは息を切らしながら涙を流していた。
「…え?」
「…マリ!!」
え⁈
テグはマリを抱きしめた。
「マリの事、全部…思い出したんだ‼︎」
「え…そ、そんなことって…」
「マリ‼︎」
テグは再びマリを強く抱きしめた。
「ほ、本当⁈テグ‼︎信じられない‼︎」
「マリ、会いたかった…」
「テグ…」
マリはテグの記憶が戻った事が嬉しい反面、また記憶がなくなるんじゃないかと不安だった。
テグ…ごめん…
もう私、さよならするって決めたから…
「テ…テグ、思い出してくれてありがとう…」
「本当に良かった‼︎」
マリは抱きしめているテグから離れ、一歩下がった。
「え…?」
「わ…私…もう行かなきゃ。ごめんね」
「…マリ」
気持ちの整理をしていたマリは、テグの顔を見るのが辛くて搭乗口に向かって歩き出した。
「…何言ってるんだよ」
「え…」
「行くなよ」
マリは立ち止まった。
「ずっと俺の傍にいろよ!」
マリは必死で涙を堪えた。
「もう離れたくない。離したくない‼︎」
「…テグ」
「誰よりも…何よりも…どうしようもないくらいマリを愛してるんだ!!」
「テグ」
マリはスーツケースをその場に置いたままテグの元へ走っていき抱きついた。
「ごめん。テグ‼︎私もテグのこと愛してる。どうしようもないくらい…」
「マリ」
「テグとずっと一緒に居たい」
「マリ、もうこの手を離さないから」
「テグから離れない…」
90日間だけの恋人だったが
1年後、再び2人は結ばれた
まさに奇跡だ…
その頃、お婆さんは空を見ながら呟いた。
「2人共…幸せになるんだよ…」
~完~
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