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最終章
25話 夢のような時間
しおりを挟む振り返ると…テグだった。
えっ、テグ⁈
どっ、どうして⁈
「すみません」
「えっ」
「…あ…えっと…」
どっ、どういう事⁈
「すみません…何か気が付いたらここに来て…呼び止めてしまって…」
「はっ、はい…」
「あれ…俺、どうしちゃったんだ?」
やっぱり私のことは分からないんだ…
でも何で私のとこに…
「あの…少し時間ありますか?」
「え…」
「あ、すみません。何かこれってナンパみたいですね。失礼しました」
テグは去ろうとした。
「あのっ」
「え?」
「時間あります」
マリは思わず言ってしまった。
そして2人へ河辺に座った。
「あの…僕たち…」
「え…」
「知り合い…とかじゃないです…よね?」
「…ど、どうして急に」
「すみません。何か見覚えあるような…」
テグはマリの顔を覗き込んだ。
その時テグが着けているネックレスの指輪が目に入った。
この指輪…私のだ…
大事にしてくれてたんだ…
マリは涙が出てきた。
「ど、どうしたんですか⁈」
「いいえ…すみません。何かゴミが目に入ったみたいで」
「そうですか」
テグとまたこうして一緒に居られて…
夢みたい…
「日本の方ですよね。いつまでこっちに?」
「明日の夕方帰ります」
「…そうですか」
テグはマリがつけている腕時計を見た。
「その時計…」
「えっ」
「僕も同じの持ってだけど、失くしたみたいで…」
「そ、そうなんですね…」
テグは立ち上がった。
「何か呼び止めてしまってすみませんでした。もう行きますね」
え…もう…
「じゃあ、韓国を満喫して下さい」
そう言ってテグは行ってしまった。
テグ…
本当に私のこと忘れたんだね…
でも、私を呼び止めるなんて…
何か感じたのかな…
相変わらずかっこよかった…
こっちに来て正解だったよ…
テグ…元気でね…
マリはテグから引き止められて、もしかして…と期待していた。
マリはテグの腕時計を見ながら、しばらくその場に座っていた。
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