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第2章
23話 それぞれの居場所
しおりを挟むピンポン…ピンポーン
ん…
チャイムで目が覚めた。
え…ここは…私の家…
時計を見ると18時01分だった。
玄関を開けると、配達の人だった。
荷物の送り主は母親からで、箱を開けると野菜が入っていた。
マリは母親に電話をした。
「もしもし、マリ?」
「…うん」
「どうしたの?」
「野菜…ありが…とう」
「届いたのね」
「、、、、」
「マリ?」
マリは涙が出てきて言葉に詰まった。
「どうしたの?マリ?」
「…うう…ん…」
「ママ、泣いてるの?」
「…お母さん…大丈夫だから…」
「マリ、体に気をつけて頑張るのよ」
「…うん…ありがとう…」
電話を切った後、マリはテグの腕時計を握りしめ泣き続けた。
テグ…本当に終わってしまったんだね…
テグ… テグ…
「テグッ!おい起きろよ、大丈夫か⁈」
え…
「…ウク」
「テグ、お前うなされてたぞ」
「え?俺、寝てたの?」
「チャイム鳴らしても出ないから勝手に入っだけど、すごい苦しそうにうなされてたよ」
テグはすごい汗をかいていた。
「大丈夫かよ」
「…うん」
ウクは気づいていた。
マリと終わったことを。
マリのことはもう記憶にないテグには敢えて何も言わなかった。
こうやって、マリとテグはそれぞれ自分の場所へ戻った。
月日が過ぎ、10ヶ月経った。
12月22日
マリは相変わらず韓国語の講師の仕事をしていた。
テグを忘れられず、未だに家に1人で居ると涙を流していた。
1人の男として愛してしまった以上、ファンに戻ることは出来なかった。
この日、テグはウクと家で飲んでいた。
「テグ、今ドラマ撮影してるけど、今日監督から言われたよ」
「何て?」
「お前NGばっかり出すし、テグらしくないって。一体どうしたんだよ」
「…そうだよな。自分でもよく分からない」
テグはネックレスに通した指輪を触りながら首を傾げていた。
「その指輪は?」
「これ?わからないけど何か大事な物のような…」
「まさか…」
「何?」
「テグ…マリさんって覚えてる?」
「…マリさん?」
「うん、マリさん」
するとテグは頭が痛くなり、うずくまって頭を抱えた。
「ど、どうした?」
「頭が…ガンガンする。痛えーっ」
「大丈夫か⁈話変えよう」
「い、いいから話続けて」
「でも…」
「マリさんって…俺の知ってる人?」
「…う、うん。もしかしてその指輪…」
するとテグの目から涙が溢れていた。
「テグ?」
「お、俺、どうしたんだろ…何で涙が出るんだ…」
「テグ…お前ちゃんと寝てるか?」
「…いや、何故か寝付けない。寝ても何回も目が覚めて…」
「テグ、俺明日ちょっと朝から日本に行って来るわ。夕方には帰るからよろしく」
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