90日間の恋人【完結】

真凛 桃

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第2章

21話 泣かない約束したのに

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マリ…


え…?


「もう9時だよ」

「えっ、もうそんな時間⁈」


マリは慌てて飛び起きると、テーブルに朝食が用意されていた。


「おはよう!朝食頼んだから、ここで食べて出よう」

「うん!」


マリは急いで顔を洗いに行った。


2時間前に目が覚めたテグは、寝ているマリをずっと眺めていた。

今日で自分の記憶からマリが消えると思うと我慢できなくなり、涙が溢れてしまっていた。


「テグ、何時に起きたの?」

「え…俺もさっきだよ」

「そっか。早く食べて10時には出なきゃね」

「うん」


朝食を終え、ホテルを出た2人は映画館に行った。


「何観ようかー」

「そうだねー、面白いのにしない?」

「うん、そうしよう」


コメディ系を観る事に決め、映画館に入った。


「今さらだけど、映画なら韓国でもこっそり行けばバレなかったかもね」

「ハハ…そうだね」


映画が始まった。
2人は1番後ろの席で観ていた。

笑い声があちこちで聞こえる。


「ハハハ」


テグは映画の内容が頭に入らず、マリの事でいっぱいで笑えなかった。

マリはスクリーンに釘付けで、テグを見ようとしない。

ずっと笑っていたマリは、次第に笑いがなくなってきた。


もうすぐでこの幸せなテグとの時間が終わってしまう…
テグ…テグ…
泣かない約束したけど私、無理みたい…
暗いから泣いてもバレないよね…


マリは込み上げてきて泣き続けた。


泣いているマリに気づいたテグは、こっそりマリの手を握った。

テグは必死に涙を堪えていた。


テグがさりげなく時計を見ると13時30分だった。


もう…5時間もない…
俺が最後に会いに来て本当によかった人だろうか…


かえってマリを苦しめる事になってしまいそうで、胸が苦しくなり思わずマリの手を強く握った。


テグ…
本当は私が泣いてるの気づいてるんだよね…
なのに気づいてないフリしてるんでしょ…

泣かない約束したのにごめんね…











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