90日間の恋人【完結】

真凛 桃

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第2章

19話 再会

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タクシーでスーパーに向かったテグは、入り口付近にずっと立っていた。
初めて来た福岡で土地勘も全くないテグはそんなこと関係なくマリを探すのに必死だった。

時間だけが過ぎていき21時を回った。
するとウクから電話が入った。


「もしもし、明日の事だけど」

「ごめん、明日の撮影キャンセルか延期にしてもらえないかな」

「え?どうして⁈」

「今、日本に居るんだ」

「え、日本?お前、今日本に居るのか⁈」

「詳しい事はまた帰って話す…あ…その時は記憶が無いのか…」

「もしかしてマリさんに会いに⁈」

「…うん。でもマリの居場所が分からなくて」

「…そっか。わかった…撮影の事は何とかしておくよ」


えっ…


「もしもし?」

「ごめん。切るよ」

「え?どうした?もしもし?もしもし?」


電話を切ったテグは急いでスーパーの前の信号を渡った。

そして走って行き、1人の女性の手を掴んだ。


「マリッ」


えっ?


「テッ、テグ⁈」


テグはマリを強く抱きしめた。


「マリ…よかった…よかった」

「どうしてここに⁈」

「マリを探しに来た」

「え…いつから居たの?手がすごく冷たい」

「とりあえず人通りの少ない所に行こう」


2人は公園のベンチに座った。


「テ、テグ…私を探しに来たって…な、何で?」

「マリ…ごめん」

「え?」

「マリの事、受け入れなくてごめん。後悔したよ」

「後悔?」

「もう今さら遅いけど、マリのこと今も好きだ」

「…テグ」

「あの時、受け入れていれば…」

「私が実はファンだったって事、許してくれるの?」

「俺はマリの事、1人の女性として愛してたから」

「えっ、じゃあ…このままずっと一緒に居られるの?」

「…一度受け入れなかったら、もう無理みたい」

「え…誰にそんな事」

「お婆さんに会いに行って来たんだ」

「じゃ…じゃあ、テグの記憶から私は居なくなるのね…」

「…うん。だからどうしても最後に会いたくて」

「明日の何時までか分かる⁈」

「18時。今22時だから後20時間」

「…そんな」

「俺はギリギリまでマリと一緒に居たい。だけどマリが辛くなるなら無理は言わない」

「一緒に居たい!」

「マリ…本当に大丈夫?」

「うん」

「じゃあ明日の18時まで、お互い何も考えず楽しい事だけ考えよう。それから泣かない事。それでいい?」

「…わかった」

「よしっ」


2人は顔を見合わせ、笑い合った。









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