90日間の恋人【完結】

真凛 桃

文字の大きさ
上 下
14 / 28
第1章

14話 別れの時

しおりを挟む

「テ…グ…」


テグはマリを起こし上げ、車に乗せるとマンションに向かった。


「…何で…?」

「お金、持って来てないだろ?」

「…ごめん」


沈黙が続くまま、マンションに着いた。


「22日までここに住んでいいから。でももう会わない」

「…ううん。明日にでも出て行くよ」

「…勝手にして」


そう言ってテグは自分の部屋に帰った。


マリはしばらく電気もつけず泣いていた。

そして手紙を書き始めた。



テグ…
本当にごめんなさい
私の勝手な願いのせいでテグの気持ちを踏みにじってしまった
本気で私の事を愛してくれたのに…
でも、私も初めはファンだったけど、テグと過ごして行くうちに1人の男性として本気で愛してた
このままずっと一緒に居られたらどんなに幸せだろう…
いっそ時間が止まってしまえばいいのに…
何度もそう思った
本当の事を言って、受け入れてくれるとは思ってなかった
少しの期待に賭けて話したけど、後悔はしてない…
こうなる事は覚悟してたし、むしろこんなあり得ない事を信じてくれてありがとう
テグ…幸せな時間をありがとう
22日までソウルに居る必要はないので、日本に帰ります
そしてテグのファンに戻ります
さようなら




ショックが大きかったテグは玄関へ入ると座り込んでしまった。
一気に涙が溢れてきた。

翌日、早朝マリは手紙を残して日本へ帰り
日常の生活に戻った。


テグは結局、一睡もせず事務所へ行った。


「おはようございます」

「おはよう」


ウクはテグのやつれた顔を見て、誰もいない部屋へ連れて行った。


「どうした?顔がやつれてるぞ。今日は雑誌の撮影なのに」

「…寝てないから…ちゃんと整えるよ」

「寝てない?あ~マリさんとラブラブしてたんだなぁ~」

「…マリとは別れた」

「え⁈な、何で?」

「、、、、、」

「テグ。今日終わって飲みに行こう」
 
「…あぁ」


そして仕事が終わり、テグとウクは飲みに行った。
テグは次々とお酒を飲み干す。


「おい、ペース早いぞ」

「…飲まないとやってられない」

「テグ…何があったんだ?マリさんと」


テグは黙ったまま、お酒を一気に飲み干した。


「テグ?」

「…マリは俺のこと知らなかったって言ってたけど、ファンだった…」

「え…」

「俺はファンと付き合ってたんだ…」

「な、何で?」

「ウク…信じられないことが起きたよ。願い事をされて、それが…実現するなんて…」

「え…」


まさか、マリさんはテグに話したのか…?


「話してもお前は信じられないだろうな。あり得ない事だから。」

「テグ…すべて聞いて、お前信じたんだな」

「え?」

「俺、全部知ってるよ」










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】人生で一番幸せになる日 ~『災い』だと虐げられた少女は、嫁ぎ先で冷血公爵様から溺愛されて強くなる~

八重
恋愛
【全32話+番外編】 「過去を、後ろを見るのはやめます。今を、そして私を大切に思ってくださっている皆さんのことを思いたい!」  伯爵家の長女シャルロッテ・ヴェーデルは、「生まれると災いをもたらす」と一族で信じられている『金色の目』を持つ少女。生まれたその日から、屋敷には入れてもらえず、父、母、妹にも虐げられて、一人ボロボロの「離れ」で暮らす。  ある日、シャルロッテに『冷血公爵』として知られるエルヴィン・アイヒベルク公爵から、なぜか婚約の申し込みがくる。家族は「災い」であるシャルロッテを追い出すのにちょうどいい口実ができたと、彼女を18歳の誕生日に嫁がせた。  しかし、『冷血公爵』とは裏腹なエルヴィンの優しく愛情深い素顔と婚約の理由を知り、シャルロッテは彼に恩返しするため努力していく。  そして、一族の中で信じられている『金色の目』の話には、実は続きがあって……。  マナーも愛も知らないシャルロッテが「夫のために役に立ちたい!」と努力を重ねて、幸せを掴むお話。 ※引き下げにより、書籍版1、2巻の内容を一部改稿して投稿しております

もう何も信じられない

ミカン♬
恋愛
ウェンディは同じ学年の恋人がいる。彼は伯爵令息のエドアルト。1年生の時に学園の図書室で出会って二人は友達になり、仲を育んで恋人に発展し今は卒業後の婚約を待っていた。 ウェンディは平民なのでエドアルトの家からは反対されていたが、卒業して互いに気持ちが変わらなければ婚約を認めると約束されたのだ。 その彼が他の令嬢に恋をしてしまったようだ。彼女はソーニア様。ウェンディよりも遥かに可憐で天使のような男爵令嬢。 「すまないけど、今だけ自由にさせてくれないか」 あんなに愛を囁いてくれたのに、もう彼の全てが信じられなくなった。 【お詫び】読んで頂いて本当に有難うございます。短編予定だったのですが5万字を越えて長くなってしまいました。申し訳ありません長編に変更させて頂きました。2025/02/21

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

婚約破棄の甘さ〜一晩の過ちを見逃さない王子様〜

岡暁舟
恋愛
それはちょっとした遊びでした

崖っぷち令嬢の生き残り術

甘寧
恋愛
「婚約破棄ですか…構いませんよ?子種だけ頂けたらね」 主人公であるリディアは両親亡き後、子爵家当主としてある日、いわく付きの土地を引き継いだ。 その土地に住まう精霊、レウルェに契約という名の呪いをかけられ、三年の内に子供を成さねばならなくなった。 ある満月の夜、契約印の力で発情状態のリディアの前に、不審な男が飛び込んできた。背に腹はかえられないと、リディアは目の前の男に縋りついた。 知らぬ男と一夜を共にしたが、反省はしても後悔はない。 清々しい気持ちで朝を迎えたリディアだったが……契約印が消えてない!? 困惑するリディア。更に困惑する事態が訪れて……

処理中です...