90日間の恋人【完結】

真凛 桃

文字の大きさ
上 下
13 / 28
第1章

13話 告白

しおりを挟む

2月3日 22時

2人は公園に行った。

いざ話すとなると緊張して、マリは口数が少なかった。


「マリ、どうしたの?さっきから喋らないけど」

「う、うん…」

「マリ?何かあった?」

「テグ…今から話す事、信じられないかも知れないけど、本当の事だからちゃんと聞いて欲しい…」

「え?な、何?」

「昨年の12月24日、福岡であるお婆さんに出会ったんだけど」

「イブの日?俺と居たじゃない」

「うん。お婆さんに出会ったから」

「え?よく意味がわからないんだけど」

「簡単に言うと、そのお婆さんに私の願い事を叶えてもらったの」

「…願い事って?」

「…テグの彼女になりたいって」

「えー?だから叶ったって事?アハハ」

「うん。90日間だけ…だから2月22日までなの」

「マリ…何言ってるんだよ」

「本当なのよ。初めは90日間でも充分だと思ったけど、一緒に居るうちに離れたくなくなって…この前、お婆さんに何とかならないか聞くために福岡に行って来たの」

「そ、それで行ってたの?」

「…うん。そしたら、2月3日に全てをテグに話して受け入れてくれたら、私たちずっと一緒に居られるって言われて…」

「マリ、本気で言ってるの?」

「本当の話だから」

「受け入れなかったら?」

「2月22日で終わっちゃう。テグの記憶からも私は消える」

「マリ…そんな事あり得ないだろ。アハハ…夢でも見たんじゃないの?」

「…本当なの。信じて…」

「…マリ」


マリの真剣な表情を見て、テグは信じるしかなかった。


「22日で終わるなんて無理だし、マリの事を忘れてしまうなんて…あり得ない。受け入れるに決まってるだろ」

「テグ…」

「…でも、俺の彼女になりたいって何で願ったの?」

「…それは」


本当の事を言うしかない…


「テグのファンだから…昔から」

「え…ファン?」

「テグ…ごめん」

「う…嘘だろ…だってマリは俺の事を知らなかったって…」

「嘘ついてごめん…」

「そんな…」

「テグ」


マリがテグの手を握ろうとすると、テグは振り払った。


え…


「ごめん、受け入れられない…」

そう言うとテグはマリを置いてその場を去ってしまった。


テグ…
やっぱり無理だった…
ごめんね…


マリはその場に座り、泣き崩れた。


すると、しばらくしてテグが戻って来た。








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない

曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが── 「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」 戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。 そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……? ──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。 ★小説家になろうさまでも公開中

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

処理中です...