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第1章
5話 本気にならない為に
しおりを挟む「年越してまだ1時間しか経ってないし、もう少し一緒に居たいな。ダメ?」
「ダメ…じゃない」
「アハハ」
そして2人はテグの家に行った。
「何か飲む?」
「じゃ…ビールで」
「まだ飲めるの?ま、いいけど。俺はコーヒー飲も」
「ミニュンって、いい人だね」
「そうだね…マリ、嫌な気分にならなかった?」
「ううん。ただ申し訳なく思った」
「え…」
「ミニュンはテグの事ずっと好きだったのに、私のせいで…」
「マリ…」
「テグはモテるね」
「そんな事ない。もうこの話はやめよう」
「うん。わかった」
「マリって、恋人にどんな事を求めたい?」
「えー、どんな事って?」
「例えば、毎日連絡して欲しいとか」
「特にないよ。お互い好きなら自然でいいと思う。テグは?」
「俺も…そう思う。良かった、同じ考えで」
「私、束縛とかもしないから。それに…」
「それに?」
「私、結婚願望ないから安心して」
「そうなんだ…俺も」
本気になればなるだけ辛くなるから、マリは結婚願望ないなんて言ったけど、テグも同じだと知ったマリは少しショックだった。
「楽しく付き合って行こうね」
「…うん」
そうよ…残りの時間、テグと楽しもう…
マリはそう決め、ビールを一気に飲み干した。
「じゃ、そろそろ帰ろうかな」
「え、もう?」
「眠くなってきちゃった」
「泊まって行けばいいのに」
「え…」
テグがマリに顔を近づけてきた。
マリは思わず顔を背けてしまった。
「マリ…」
「ご、ごめんなさい」
「まだ…慣れない?」
「そんなんじゃないけど…私…帰るね」
「…わかった。ゆっくり休んで」
マリは急いで自分の家に戻った。
一線を超えたらダメ…
本気になればなる程、辛くなるだけ…
でも、毎回避けていたらテグは変に思うはず…
マリはどうして行ったらいいか、わからなかった。
2025年1月5日
テグとはあれから何も起こらないまま、年が明けて5日が経った。
この日22時過ぎにチャイムが鳴り、出てみるとテグだった。
「テグ、今帰ったの?」
「うん。ちょっと出れる?」
「あっ、うん」
するとテグはマリを連れて駐車場へ行き、車に乗せた。
「どこに行くの?」
「ちょっとね」
「いいの?誰かに気づかれたら…」
「大丈夫。今の時間は誰も居ないから」
30分程車を走らせた所で停まった。
「ここ…公園?」
「うん…行こう」
2人は広い公園の中を歩いた。
「すごく広い公園だね」
「でしょ。初めて2人で外を歩くね…」
「そうだね」
しばらく歩くと、大きなベンチがあった。
「え?何このベンチ‼︎すごく大きいんだけど」
「座ろう」
「うん」
2人は巨大なベンチに座った。
「こんなベンチ初めて‼︎インスタ映えしそうだね」
はしゃぐマリをテグはじっと見つめていた。
「どうしたの?」
「こんな時間にこういう所しか連れて来れなくてごめん」
「そんな…謝らないで。仕方ないよ」
「でも…」
「それに、公園でも連れて来てくれて嬉しいよ。このベンチにもすごく感動したし、ありがとう」
「マリ…」
「それより、星がキレイだね!」
「そうだね」
星空を見上げるマリに、テグは見惚れていた。
「私、テグとの思い出は一生忘れないよ」
「え?どうしてそんな事…」
「だって、いつかは別れるでしょ」
「いつか別れるって…」
「それに…2人とも結婚願望ないし」
「、、、、」
「だから…」
「だから?」
「気楽に楽しく付き合って行こうね」
テグは黙ったまま俯いていた。
この付き合いが終われば、私の事はテグの記憶から無くなる…
だから、テグとの思い出は私だけの思い出になるんだ…
マリは必死で涙を堪えた。
しばらく2人は何も喋らず、時間だけが過ぎて行った。
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