ダンナ様はエスパー?

daisysacky

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第10章  捨てる神あれば拾う神あり

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「オバサンに初めて会って…母親って、本当はこんなものなのかなぁって、
 わかったの。
 母さんは、自分が大事だから…私のことは、見てないのよ。
 自分の想いを貫き通そうとするのね。
 でも…陶子さんは、違う」
 言葉にしてみて初めて…灯里は自分の本当の気持ちに、気が付いた。
すっとまっすぐな瞳を、アリサに向けると
「私、陶子さんみたいな、お母さんになりたい」
そう打ち明ける。
「陶子さん?
 陶子さんは…子供がいないはずよ」
「だけど…陶子さんみたいな人に…」
アリサには、自分のことをわかって欲しい、と灯里は思う。
彼女も灯里の表情を見ているうちに、彼女の言わんとすることを、
理解したようだった。

「陶子さん…灯里の気持ちを聞いたら、きっと喜ぶわ」
大きくうなづくと、灯里の手を、ギュッと握りしめる。
「でもね、母さんも、反面教師という意味では…
 私にとって、よかったのかもしれない」
灯里は落ち着いた表情で、そう言う。
 今は、母親に対して、うらみの気持ちはない。
あれはあれで…おそらくは、不器用ながらも愛情表現だったのだ、
と思うからだ。
「私…いい母親になれるかなぁ」
ポツン…とそうつぶやくと、
「なれるわよ!」
アリサはギュッと、灯里の手を握り締めると、力強く答える。
「灯里なら、きっと大丈夫!
 私が保障する!」
アリサはなぜだか、自信満々にそう宣言した。
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