ダンナ様はエスパー?

daisysacky

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第10章  捨てる神あれば拾う神あり

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「それは、買いかぶりすぎよ!
 久志さんこそ…いつも楽しそうにしてて、きれいな人たちに
 囲まれていて、私は本当に、羨ましかったのよ」
ポツン…とそう言うと
「へぇ~そうだったんだねぇ」
久志は優しく、灯里の手を包み込んだ。


 翌日になって、あらためて…お医者さんから直接、灯里と久志に
説明があった。
もうすでに、赤ちゃんが子宮口の方にまで、下りてきていること。
だが…初産ということで、固く、開ききってはいないこと。
「とにかく…促進剤を使って、早く出してあげたいんですけどね」
そう説明された。
「そうなんですか?」
まさか…そこまで大変なことになっているとは、灯里も予測も
していなかったので…
さすがに、おびえた顔になった。
 だが久志は落ち着いた表情でうなづく。
「わかりました。お願いします」
灯里の代わりに、頭を下げる。
 だが灯里が一番、動揺していた。
何しろ、当の本人は、途方に暮れていたのだ。
物事が、思惑を無視して進むので‥

 だが彼女は、心に決めていた。
たとえ、何があろうとも、この子だけは、しっかりと、守り抜くのだ、と。
「大丈夫?」
小声で久志が、灯里にささやく。
「うん、大丈夫」
灯里は、微笑んでみせようとするけれど、わずかに頬が引きつっていた
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