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第10章 捨てる神あれば拾う神あり
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「でも…どうして?」
こんな風に、彼と話すのは、初めてなのかもしれない。
灯里の眠気はすっかりどこかへ行って、可能ならば、
一晩中でも、こうして話をしていたい…とさえ久志は思う。
「初めて、キミを見た時…
あぁ、この子は、とても誠実に生きているんだなぁ~
そんな風に、思ったんだ。
そうして、それがいいな、と思ったんだ。
そうしたら、君から目が離せなくなったんだ」
うっとりとした表情で、久志がそう言う。
「そんな…買い被りすぎですよ!」
私のほうこそ、久志さんにふさわしくない…
陰でこそこそと見ていた…というのに!
(それって、一歩間違えたら、ストーカー?)
マズイじゃないか…
すると久志は、灯里の方を見て笑う。
「何だかボクたち…
お互いに、勘違いをしてたんだねぇ」
優しく微笑む。
「あの頃キミは…とってもまぶしかったんだ」
ふっと遠い目をする。
「キミがとても、まぶしかったんだ。
ボクは自分が、とても汚い存在のような気がして…
キミのことが、羨ましかったんだ」
キミがとても、輝いて見えた…
そう語る久志は、まるでまぶしいものを見るように、
目を細める。
灯里は何だか恥ずかしくなり、そっと目をそらした。
こんな風に、彼と話すのは、初めてなのかもしれない。
灯里の眠気はすっかりどこかへ行って、可能ならば、
一晩中でも、こうして話をしていたい…とさえ久志は思う。
「初めて、キミを見た時…
あぁ、この子は、とても誠実に生きているんだなぁ~
そんな風に、思ったんだ。
そうして、それがいいな、と思ったんだ。
そうしたら、君から目が離せなくなったんだ」
うっとりとした表情で、久志がそう言う。
「そんな…買い被りすぎですよ!」
私のほうこそ、久志さんにふさわしくない…
陰でこそこそと見ていた…というのに!
(それって、一歩間違えたら、ストーカー?)
マズイじゃないか…
すると久志は、灯里の方を見て笑う。
「何だかボクたち…
お互いに、勘違いをしてたんだねぇ」
優しく微笑む。
「あの頃キミは…とってもまぶしかったんだ」
ふっと遠い目をする。
「キミがとても、まぶしかったんだ。
ボクは自分が、とても汚い存在のような気がして…
キミのことが、羨ましかったんだ」
キミがとても、輝いて見えた…
そう語る久志は、まるでまぶしいものを見るように、
目を細める。
灯里は何だか恥ずかしくなり、そっと目をそらした。
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