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第10章 捨てる神あれば拾う神あり
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「お義母さんには、黙っててくれる?」
久志にそう伝えると、
「えっ、そうなの?」
なんで、と驚いた顔をする。
「だって…万が一しゃべったら、また面倒なことになりそう!」
今は灯里にとっても、大切な時期なのだ。
なるべくわずらわしいことは、避けておきたい。
そう考えると、自分の母親も、久志のお母さんも…
どちらも甲乙つけがたい、強敵ぞろいだ、と彼女はそう思う。
「わかった」
だが拍子抜けするくらいに、あっさりと、久志は素直にうなづく。
「アカリちゃんが、それでいいのなら」
ボクは一向にかまわないよ、とにっこりと微笑んだ。
「ごめん、ありがとう」
いつも自分は、久志さんのことを、困らせてばかりいるなぁ~と、
灯里はしみじみとそう思った。
「とにかく荷物は、ボクが持つ。
陶子さんの家には、一緒に行くから」
1人でも大丈夫よ、と灯里がいくら言っても…
それだけはダメだ、と珍しくガンとして、久志は譲らなかった。
「わかった」
幾ら言っても、逆効果だ、と彼女も悟り、仕方なく甘えることにした。
ここまで自分は、頼りないのか…と感じて、彼女は少なからず
ガッカリとした。
久志にとっても、ギリギリ許せる所まで、譲歩したのだ。
そうしないと、認めるわけにはいかない、とかなりきつく言われ、
シブシブ受け入れることにした。
いよいよ初めて、陶子さんの家を目指して出発する。
灯里にとっては、母親の妹なのだが…
久志にとっては、ほぼ見も知らぬ赤の他人だ。
「ねぇ、なんでそこまでしてくれるの?」
思い切って、久志に聞いてみる。
「決まってるだろ!
だって、キミはボクの奥さんなんだから」
少し顔を赤らめてそう言うと、
「ほら、その荷物も貸して!」
いい、と言うのに、灯里のトートバッグを引ったくるようにして、
奪い取った。
久志にそう伝えると、
「えっ、そうなの?」
なんで、と驚いた顔をする。
「だって…万が一しゃべったら、また面倒なことになりそう!」
今は灯里にとっても、大切な時期なのだ。
なるべくわずらわしいことは、避けておきたい。
そう考えると、自分の母親も、久志のお母さんも…
どちらも甲乙つけがたい、強敵ぞろいだ、と彼女はそう思う。
「わかった」
だが拍子抜けするくらいに、あっさりと、久志は素直にうなづく。
「アカリちゃんが、それでいいのなら」
ボクは一向にかまわないよ、とにっこりと微笑んだ。
「ごめん、ありがとう」
いつも自分は、久志さんのことを、困らせてばかりいるなぁ~と、
灯里はしみじみとそう思った。
「とにかく荷物は、ボクが持つ。
陶子さんの家には、一緒に行くから」
1人でも大丈夫よ、と灯里がいくら言っても…
それだけはダメだ、と珍しくガンとして、久志は譲らなかった。
「わかった」
幾ら言っても、逆効果だ、と彼女も悟り、仕方なく甘えることにした。
ここまで自分は、頼りないのか…と感じて、彼女は少なからず
ガッカリとした。
久志にとっても、ギリギリ許せる所まで、譲歩したのだ。
そうしないと、認めるわけにはいかない、とかなりきつく言われ、
シブシブ受け入れることにした。
いよいよ初めて、陶子さんの家を目指して出発する。
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「ねぇ、なんでそこまでしてくれるの?」
思い切って、久志に聞いてみる。
「決まってるだろ!
だって、キミはボクの奥さんなんだから」
少し顔を赤らめてそう言うと、
「ほら、その荷物も貸して!」
いい、と言うのに、灯里のトートバッグを引ったくるようにして、
奪い取った。
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