ダンナ様はエスパー?

daisysacky

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第10章  捨てる神あれば拾う神あり

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 久志はポンと灯里の肩に手を置くと、
「キミのしたいように、すればいい。
 あくまでも、キミのことなのだから…」
穏やかなまなざしで、微笑んだ。


 翌日トウコさんに伝えると、早速手放しで子供のように喜んでいた。
「何だか、嬉しいわ!
 自分に…本当の孫が、出来たみたい!」
心の底から喜んでいるように、手を打って、目を輝かせる。
「孫だなんて…まだ、お若いです」
むしろ、申し訳ないくらいだ。
それにしても…この優しい人が、本当に母さんの妹なのか?
 見た目はよく似てはいても、性格は真反対だし、雰囲気もまったく違う。
もっと優しくて、包容力もあり、穏やかだ。
まるで姉妹の立場が、逆転しているみたいだ。
「よろしくお願いします」
今度は、灯里は素直に頭を下げた。


 こうして2人は、まるで親子のように連れ立って買い物をするようになった。
赤ちゃんグッズを、トウコさんに見立ててもらったり、
時には役に立ちそうなものを、選んでもらったりした。
本来ならば、実の母親とするべきものなのだろうが…
おそらく頼んだとしても、
「そんなの…自分で探しなさい。ダンナさんは?」
と、ぶっきら棒に、ひと言言うだけだろう。
だから灯里は、そういうことは、自分の母親にはまったく期待は
していなかった。
 だけど…母親って、こういうもの?
陶子さんを通して、生まれて初めて体験した。
普通の娘ならば、こうやってお母さんに甘えたりするものなのだ…
彼女は、これが夢ではないかと、思っていた。
今まで得られなかったことが、この陶子さんのお陰で、
与えられたことに、心から感謝していた。
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