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第9章 やっぱり、あなたは…?
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「あの時は、ありがとうございました」
灯里はペコリと頭を下げる。
「え~っ、なに?」
一人だけ、何のことが飲み込めないアリサが、緒方さんと灯里の顔を
見比べる。
ふふふ…
そんなアリサを見て、灯里はいたずらっぽく笑う。
「大したことじゃないのよ」
緒方さんがそう言うので、
「そんなことはないです!」
ややムキになって、灯里は声をあげる。
「私が倒れたところを、助けてもらったんです」
キッパリとそう言うと、ようやくアリサは安心したように、
「なんだ、そういうことだったの?」
あわててアリサは緒方さんに向かって、深々と頭を下げた。
「久志くん…すごく心配してたわよ」
ニコニコしながら、その人は言う。
いつの間に、名前を呼ぶ仲になっていたの?
灯里にとっては、そのことが驚きだった。
微妙な顔をする彼女を見て、緒方さんはあわてて手を大きく振る。
「あ、そういうことじゃないのよ」
誤解しないで…と言うけれど、特にそこまで勘ぐったわけではなかった。
これでも、彼のことはよく知っているつもりだ…
この人のことは、そんな浮ついた目で見ていない…と信じている。
緒方さんは、にこやかに微笑むと
「いつもは、ポーカーフェイスなのに…
あんなに動揺しているところって、初めて見たかも」
あなたって、本当に愛されているのね、と穏やかな表情を浮かべる。
「いいえ、あの人は、誰にでも優しいから…」
照れたように、灯里は少し頬を赤らめる。
「ホント、可愛い人ね」
緒方さんはそう言うと…
「最初は…久志君って、ロリコンかと思ったわよ」
クスクスと笑った。
いくらベビーフェイスだからといって、そこまで言い過ぎだわ、と
灯里は思うけれど…
アリサもうなづいているので、みんなそんな風に思っていたんだ…と、
それはそれで、驚くのだった。
灯里はペコリと頭を下げる。
「え~っ、なに?」
一人だけ、何のことが飲み込めないアリサが、緒方さんと灯里の顔を
見比べる。
ふふふ…
そんなアリサを見て、灯里はいたずらっぽく笑う。
「大したことじゃないのよ」
緒方さんがそう言うので、
「そんなことはないです!」
ややムキになって、灯里は声をあげる。
「私が倒れたところを、助けてもらったんです」
キッパリとそう言うと、ようやくアリサは安心したように、
「なんだ、そういうことだったの?」
あわててアリサは緒方さんに向かって、深々と頭を下げた。
「久志くん…すごく心配してたわよ」
ニコニコしながら、その人は言う。
いつの間に、名前を呼ぶ仲になっていたの?
灯里にとっては、そのことが驚きだった。
微妙な顔をする彼女を見て、緒方さんはあわてて手を大きく振る。
「あ、そういうことじゃないのよ」
誤解しないで…と言うけれど、特にそこまで勘ぐったわけではなかった。
これでも、彼のことはよく知っているつもりだ…
この人のことは、そんな浮ついた目で見ていない…と信じている。
緒方さんは、にこやかに微笑むと
「いつもは、ポーカーフェイスなのに…
あんなに動揺しているところって、初めて見たかも」
あなたって、本当に愛されているのね、と穏やかな表情を浮かべる。
「いいえ、あの人は、誰にでも優しいから…」
照れたように、灯里は少し頬を赤らめる。
「ホント、可愛い人ね」
緒方さんはそう言うと…
「最初は…久志君って、ロリコンかと思ったわよ」
クスクスと笑った。
いくらベビーフェイスだからといって、そこまで言い過ぎだわ、と
灯里は思うけれど…
アリサもうなづいているので、みんなそんな風に思っていたんだ…と、
それはそれで、驚くのだった。
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