ダンナ様はエスパー？

第8章 私を探さないで…

２０

　　そうなのか？
　　やっぱり、手詰まりなのかなぁ～
ヨロヨロと、久志はその運転手のことを見る。
「どんな…些細なことでもいいんです…
　何か覚えていませんか？」
久志はつい、拝むような気持ちで、彼を見つめた。
「そうですねぇ～」
しばし考え込むと…
「手がかり…というほどのものでは、ないんですけど…」
かれはポソリと言い足した。
「ひとまず駅で、下ろしました。
　確か…知り合いに会いに行く、と言ってましたね！」
大したことを、覚えていなくてすみません…
彼は申し訳なさそうな顔をした。
「でも…」
　ふいに思いついたように、彼は久志を見つめる。
「携帯をお持ちなら…ＧＰＳ機能がついているんじゃあないでしょうか？」
もっともらしく、付け加えるので…
そう言われると、そうだ…
久志は急いで、自分の携帯の電源を入れると、
（どうか反応が、ありますように！）
そう願いを込めて、見つめるのだけれど…
灯里が電源を切っているのか、それとも電池切れなのか、
何の反応もなかった。

　ガクンと膝を折る久志に
「そんなに気落ちしないでください。
　必ず、何かわかりますから」
　力強くそう語った後…
今の所、まったく反応がないことに、すっかり気落ちするのだった。
（一体、キミは…どこにいるんだ？）
久志は心の中で、そうつぶやく。
（キミは、大丈夫なのか？
　せめて元気でいてくれ）
心の中で、そう願うのだった。