ダンナ様はエスパー？

第６章 久志のヒミツ？

３３

　　申し訳ない、という気持ちもあったけれど、灯里は正直に
嬉しい…と思った。
思わずうっとりとした顔になり
「なんか、いいなぁ～
　家に帰るのが、何だか楽しみ！」
嬉しそうに言うと、なになに？
ヘラリと久志が、こちらを向いて、笑った。


　翌日には、約束通り、久志が迎えに来た。
その日は朝からソワソワして、たった1日の入院なのに、
嬉しくてたまらない。
「よかったですねぇ」
　看護師さんもニコニコして、灯里の着替えを手伝ってくれた。
「ダンナさん､ホント、優しいですねぇ」
そう言われると、思わず灯里の顔がほころぶ。
「そうなんですよぉ～
　とーっても、優しいの！」と自慢する。
「あらぁ～ごちそうさま！」
看護師さんがすっかりあてられる、

「ちゃんとおとなしくして下さいよ」
　お医者さんに、口が酸っぱくなるくらい、言い含められた。

ひとまず命の恩人である緒方さんに、退院することを報告する。
案の定、
「あら、もういいんですか？」
とても明るい口調で聞かれて、答えに困った
とりあえずまた後日、きちんとお礼をしよう…ということで、
久志と話を決めた。
「そんなの、いいです」
ひどく恐縮する声が聞こえる。
「当然のことをしたまでですから」
そう言われるとかえって逆効果みたいで、何だか歯がゆい。
「それが中々出来ないんですよ。
　とにかく顔を見せに行かせてください」
恭介が電話に向かって、ペコペコ頭を下げると、ようやく納得して
くれたようだ。
だが、そんなこんなで、あらためてすごい人だなぁ～と、
その女性のことを思う。
だがそんな中、予想外の反応した人が、他にも存在した。
　それは、親友のアリサだ。