ダンナ様はエスパー?

daisysacky

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第6章  久志のヒミツ?

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「あらぁ~仲がいいのねぇ~」
 ごちそうさま!
 その若い看護師さんは、羨ましそうな顔をする。
灯里よりも若いくらいだろうか。
「いいですねぇ~
 あぁいう優しいダンナさん!憧れます」
うっとりとした顔をして、そう言う。
「あら、看護師さんだって、もてるでしょ?」
自分みたいな、地味な人よりも…と思いながら、彼女の顔を見ると
「いいえ!そんな素敵な出会いが…あるといいんですけどねぇ」
羨ましそうに、灯里の顔を見返した。
「全然、そんなことないです。優しいのだけが、取り柄かな」
そう言いながらも、
「甘やかされ過ぎて…かえって困るんです」
わざと眉をひそめる。
このままだと、何にも出来なくなってしまう…と思っていったのだが、
「あらぁ~贅沢な悩み」
やはり誤解されたままのようだ。

 たまには、久志さん以外で、話をするのもいいものだなぁ~
灯里はしみじみとそう思う。
普段はいつも1人で、誰かと話をすることなんて、ほとんどない。
(お隣さんは別として)
アリサもしょっちゅう来るけれど、忙しいから長くはいられないのだ。
今こうして1人になると、シンプルに自分のことを考えることが出来る。
今までどうして、こんな風に、考えることをしなかったのだろう…
とても新鮮な気持だ。


「アカリ…ごめん、1人にして」
 ようやく久志が戻ってきた。
「ううん、全然」
灯里は頭を振る。
「だって、久志さんが、悪いわけじゃあないんだもん。
 謝らなくて、いいよ」
その間…看護師さんとも話が出来たし、と彼女はしみじみとそう思う。
だけどごめんごめんと言いながら、久志は近付いて来た。


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