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第6章 久志のヒミツ?
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なんでそんなことを、知っているの?
不思議に思ったけれど…
それはきっと、アリサが久志にしゃべったのに違いない、と思う。
「そうだよ!」
いきなり彼が、まるで灯里の心を読むように言う。
常々灯里は思っていた。
彼はエスパーなんじゃないか、と。
彼はいつも、灯里の欲しい言葉を、これぞという時に言ってくれ、
灯里のしたいように、させてくれる。
それは偶然だ…と思っていたけれど。
もしかして?
まさか?
「偶然だよ」
またも彼が笑う。
「おかしな人!」
ポン、と灯里はもう1つ、背中をたたく。
「そうかなぁ?」
彼は抵抗することなく、されるがままだ。
「でも、大好き!」
灯里はまたも、ポンとたたく。
「ボクもだ」
ピョンと跳ねると、灯里はその背中に、セミのようにしがみついた。
いつも守られてばかりいる…
灯里はそう感じていた。
(でも…わたしだって、役に立つはずよ!)
そう思うけれど、彼のために、自分が何が出来るのか…と言うと、
何も思いつかないのだ。
まるであの日がウソのように…あれきりお姑さんは姿を見せない。
「また。来るわね」
と言ったけれど、自分の母親もあれきりだ…
(もう、来なくていいけど?)
だけど、きっとガッカリとしているのかも…
何だか振られたような気分だ。
(そうじゃない!そうじゃないけど)
何だか複雑な気分だ。
(私はいつも、母さんをガッカリさせてきたからなぁ)
だけど灯里は後悔はしていない。
それだけは…自信があるのだ。
不思議に思ったけれど…
それはきっと、アリサが久志にしゃべったのに違いない、と思う。
「そうだよ!」
いきなり彼が、まるで灯里の心を読むように言う。
常々灯里は思っていた。
彼はエスパーなんじゃないか、と。
彼はいつも、灯里の欲しい言葉を、これぞという時に言ってくれ、
灯里のしたいように、させてくれる。
それは偶然だ…と思っていたけれど。
もしかして?
まさか?
「偶然だよ」
またも彼が笑う。
「おかしな人!」
ポン、と灯里はもう1つ、背中をたたく。
「そうかなぁ?」
彼は抵抗することなく、されるがままだ。
「でも、大好き!」
灯里はまたも、ポンとたたく。
「ボクもだ」
ピョンと跳ねると、灯里はその背中に、セミのようにしがみついた。
いつも守られてばかりいる…
灯里はそう感じていた。
(でも…わたしだって、役に立つはずよ!)
そう思うけれど、彼のために、自分が何が出来るのか…と言うと、
何も思いつかないのだ。
まるであの日がウソのように…あれきりお姑さんは姿を見せない。
「また。来るわね」
と言ったけれど、自分の母親もあれきりだ…
(もう、来なくていいけど?)
だけど、きっとガッカリとしているのかも…
何だか振られたような気分だ。
(そうじゃない!そうじゃないけど)
何だか複雑な気分だ。
(私はいつも、母さんをガッカリさせてきたからなぁ)
だけど灯里は後悔はしていない。
それだけは…自信があるのだ。
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