ダンナ様はエスパー？

第4章 まさかの奇跡…

３４

「ね」
「なに？」
「なんだか、学生時代に戻ったみたい！」
　灯里は、はしゃぐように言う。
「そうね、久し振り！」
フフフ…
アリサは笑う。
「あの頃はアリサ…
　時々こうして、私の家に、来てくれたよね！」
懐かしそうに、灯里が言うと、アリサもうなづく。
「そうそう！
　親がいないから、泊まりに来て…って、よく呼び出されたわね！
　2人でピザを取って、夜中遅くまでオシャベリしたよね」
時々隣の人に、壁をたたかれたっけ。
　気持ち的には、あの頃と何ら変わらない…と思うのに。
大人になった2人には、あの頃のような自由はない。
「アリサは、あの頃から…仕事の出来る女に、憧れていたよねぇ」
半ばまぶしいものを見るように、灯里は目を細める。

　自分とは違い、頭もよくて、美しいアリサ…
なんでそんな自分に、クラスのマドンナ的存在の彼女が、
親しくしてくれたのか…
今でも不思議だ。

「いやぁ～あの頃は、何も知らない子供だったから…」
　何だか恥ずかしそうな顔をする。
「アカリは、どう？」
チラリとアリサは、彼女を見る。
「思い通りになった？」
「うーん、どうだろ？
　やっぱり…思った通りには、なっていないかも…」
　あの頃の自分は、何を夢見てただろう…
とにかく自由に、自分の好きなことがしたかった。
学生時代の自分は、親の言う通りにしないといけなかったし、
何かにつけ、人と比べられ、自分に自信がなかった。
だから…かっこいい女性に、なりたかった。
ハイヒールをはいて、スーツ姿で闊歩するような…
自立した女に！
ハキハキしていたアリサが…とてもまぶしく見えていたのだ。
今のアリサは、自分がイメージした通りの姿に見える。
（何が不満なんだろう？）
灯里はとても不思議だった。