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第4章 まさかの奇跡…
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灯里と母親の間で、何かあった…というのは、何となくわかるけれども、
お互いにこのことは、話す気はなさそうだ。
(仕方はないな)
無理に聞き出しても、こじれるだけだ…と、久志はついに折れた。
とにかく、自分のすべきことは何か?
まずは、灯里に無理をさせないことだ…
久志はそう思う。
切れた電話を見つめると、おもむろに電話帳を呼びだして、
別の番号をプッシュする。
まもなくして、応答するこえが聞えると、
「すみません…
お願いがあるんですけど」と話し始めた。
電話が終わって、部屋に戻ると、
ソファーに寄り掛かる、灯里の姿が見えた。
「おまたせ~」
声をかけようとすると気持ちよさそうに、すぅすぅと寝息が聞こえる。
「疲れたんだなぁ~」
そうつぶやくと、起こさないようにと、そぅっと彼女を抱きかかえる。
「大丈夫だよ、後はまかせて」
そうささやくと、彼女はうっすらと、微笑んだ。
翌日にナンダカとても、体がスッキリしていて、ウソのように
調子がよい。
まるで昨日のことが、冗談ではないか、というくらいに。
珍しく早起きをして、キッチンに向かうと、すでに久志が
流しに立っていた。
「おはよう」
めざとく彼女を見つけると、
「もう、調子はいいの?」と聞く。
「昨日はありがとう。
もう大丈夫よ!」
そう言うと、
「それはよかったぁ」
と言いながら、卵のからを割る。
「変わるわ」
灯里が近付くと、
「君はまだ、無理しない方がいい」
優しく押しとどめ、
「いいから、座って」
ニッコリと微笑んだ。
お互いにこのことは、話す気はなさそうだ。
(仕方はないな)
無理に聞き出しても、こじれるだけだ…と、久志はついに折れた。
とにかく、自分のすべきことは何か?
まずは、灯里に無理をさせないことだ…
久志はそう思う。
切れた電話を見つめると、おもむろに電話帳を呼びだして、
別の番号をプッシュする。
まもなくして、応答するこえが聞えると、
「すみません…
お願いがあるんですけど」と話し始めた。
電話が終わって、部屋に戻ると、
ソファーに寄り掛かる、灯里の姿が見えた。
「おまたせ~」
声をかけようとすると気持ちよさそうに、すぅすぅと寝息が聞こえる。
「疲れたんだなぁ~」
そうつぶやくと、起こさないようにと、そぅっと彼女を抱きかかえる。
「大丈夫だよ、後はまかせて」
そうささやくと、彼女はうっすらと、微笑んだ。
翌日にナンダカとても、体がスッキリしていて、ウソのように
調子がよい。
まるで昨日のことが、冗談ではないか、というくらいに。
珍しく早起きをして、キッチンに向かうと、すでに久志が
流しに立っていた。
「おはよう」
めざとく彼女を見つけると、
「もう、調子はいいの?」と聞く。
「昨日はありがとう。
もう大丈夫よ!」
そう言うと、
「それはよかったぁ」
と言いながら、卵のからを割る。
「変わるわ」
灯里が近付くと、
「君はまだ、無理しない方がいい」
優しく押しとどめ、
「いいから、座って」
ニッコリと微笑んだ。
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