ダンナ様はエスパー?

daisysacky

文字の大きさ
上 下
110 / 462
第4章  まさかの奇跡…

   29

しおりを挟む
  灯里と母親の間で、何かあった…というのは、何となくわかるけれども、
お互いにこのことは、話す気はなさそうだ。
(仕方はないな)
無理に聞き出しても、こじれるだけだ…と、久志はついに折れた。

 とにかく、自分のすべきことは何か?
まずは、灯里に無理をさせないことだ…
久志はそう思う。
切れた電話を見つめると、おもむろに電話帳を呼びだして、
別の番号をプッシュする。
まもなくして、応答するこえが聞えると、
「すみません…
 お願いがあるんですけど」と話し始めた。

 電話が終わって、部屋に戻ると、
ソファーに寄り掛かる、灯里の姿が見えた。
「おまたせ~」
声をかけようとすると気持ちよさそうに、すぅすぅと寝息が聞こえる。
「疲れたんだなぁ~」
そうつぶやくと、起こさないようにと、そぅっと彼女を抱きかかえる。
「大丈夫だよ、後はまかせて」
そうささやくと、彼女はうっすらと、微笑んだ。


  翌日にナンダカとても、体がスッキリしていて、ウソのように
調子がよい。
まるで昨日のことが、冗談ではないか、というくらいに。
 珍しく早起きをして、キッチンに向かうと、すでに久志が
流しに立っていた。
「おはよう」
めざとく彼女を見つけると、
「もう、調子はいいの?」と聞く。
「昨日はありがとう。
 もう大丈夫よ!」
そう言うと、
「それはよかったぁ」
と言いながら、卵のからを割る。
「変わるわ」
灯里が近付くと、
「君はまだ、無理しない方がいい」
優しく押しとどめ、
「いいから、座って」
ニッコリと微笑んだ。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ただ儚く君を想う 壱

桜樹璃音
ライト文芸
▷2022/02/24 沖田総司SS「泡沫の願い」完結しました! ▷2022/03/24 藤堂平助SS「蝶々結びの片紐」更新開始! 双子の兄を不思議な事件でなくした、璃桜。 いつも、不思議な夢に、呼ばれる。 時代の先で待っている、艶やかな声に。 狂おしいほど、切なくなる。 儚き運命は、変えられない。 だけど私は―――貴方を護りたい。 「貴方と一緒に鬼にして」 「……絶対に、離れんな」 涙あり、笑いあり、史実に基づく新選組の物語。 Start:2020/04/05 Goal :2020/04/27

Trigger

猫蕎麦
ライト文芸
表題作Triggerを先頭に、ちょっとした短編を書いていきます。 (※英語版は素人のもので大量に間違いがあると思われますがご了承ください。それと、日本語版と英語版では少し表現が変わってます。しかし基本は英語を訳しているので、日本語だと不自然な表現が多いです。ご了承ください。) ーTriggerー ちょっとヤバい能力を持つ少年のある朝のお話。 英語版と日本語版あります。 ーPlan Aー 病室で目覚めた主人公ジェレットは一切の記憶を失っていた……! 英語版(途中まで)と日本語版あります。 ─Contrail─ いつもの朝。スクールバスが崖から転落し、ニーナだけが生き残った。だが落ちた先は、血塗られた家だった。 伏線もあるので、じっくり読んでみるとより面白いかもです!感想やアドバイスください。

しのぶ想いは夏夜にさざめく

叶けい
BL
看護師の片倉瑠維は、心臓外科医の世良貴之に片想い中。 玉砕覚悟で告白し、見事に振られてから一ヶ月。約束したつもりだった花火大会をすっぽかされ内心へこんでいた瑠維の元に、驚きの噂が聞こえてきた。 世良先生が、アメリカ研修に行ってしまう? その後、ショックを受ける瑠維にまで異動の辞令が。 『……一回しか言わないから、よく聞けよ』 世良先生の哀しい過去と、瑠維への本当の想い。

なぁ どうせ知らないんだろう? 俺の初恋──それが、いつだったのかを

弓月
ライト文芸
「君のおかげで俺は、今日まで、無事に、死に損ないだ」  ひとりぼっちの俺は  記憶をなくして路頭に迷う  ひとりの女の子に出会った。  君は…熱い飲み物が苦手で  車が嫌いで、木登りが好きだった。  俺は君のことが苦手で  周りの視線が嫌いで、孤独が好きだった。  ……なぁ  どうせ知らないんだろう?  俺の初恋──それが、いつだったのかを。

Don't be afraid

由奈(YUNA)
ライト文芸
ここは、何か傷を抱えた人が集まる、不思議な家でした。 * * * 高校を中退してから家族とうまくいかなくなったキャバ嬢のありさ 誰とでも仲良くできるギャルの麗香 普通に憧れる女子高生の志保 勢いで生きてきたフリーターの蓮 親の期待に潰されそうな秀才の辰央 掴みどころのない秘密ばかりの大学生のコウ 全員が、何かを抱えた 全員が主人公の物語。

50歳になって人生振り返り考えてみた

たくやす
ライト文芸
50歳になって子育ても全部終わって毎日同じ仕事や趣味を繰り返し何かを始めたく過ごして満足してたけど、知り合いに亡くなる人が多いのとyoutuberの自己啓発本を読んで過去をフィクション混じりで書いて残して置きたいと思ってたので行動してみた。 思い出すだけだから素人でも書けるしな。

Black/White

RU
ライト文芸
◎あらすじ代わりの人物紹介 ロイ・ベッティ  本編の主人公。  作者の中二的ナニカを凝縮させた、受難なチートキャラ。  物語開始時点での年齢は12歳ぐらい。出生がはっきりしていないので、正確な年齢は本人も知らない設定。(中二的ナニカ例1)  陶磁器のような白い肌、宝石のようなペイルグリーンの瞳、艷やかな黒髪、赤い唇…とゆー、白雪姫が緑色の目になったような少年。(中二的ナニカ例2)  その美貌故に、好色家なモンテカルロ氏に玩具にされ、物覚えが良かったので色々仕込まれ、暗殺術に長けている。(中二的ナニカ例3) アレックス・グレイス  本編の核になる "ヒーロー"。  ライトブラウンの髪と、色素の薄いアイスブルーの瞳を持つ、銀縁眼鏡のイケメン。  潜入時の偽名はヴァレンタイン。20代後半(まだ30にはなってない)。  階級は警部補。クールぶってる人情家。 ハロルド "ハリー"・マクミラン  アレックスの後輩刑事。階級は巡査部長。  潜入時の偽名はラザフォード。金髪碧眼とゆー素材だけならイケメンなのに、なぜかフツメン。  20代前半だけど妻帯者。アレックスの妹と結婚していて、近く子供も生まれる。  本編では、一度たりとも "ハロルド" と呼ばれた事が無い。  性格が優しいので、刑事としてはギリギリ及第点。 モンテカルロ  好色家なマフィアのドン…とゆー設定のハズだけど、ビミョ~に "お代官様" に取り入る悪徳商人的な色が濃くなってるキャラ。  小児性愛者だけど、若いオネーチャンもいける "博愛主義者"。  愛人には基本的に薬物を与え、飽きたら人身売買や売春に "払い下げ" して、次の愛人を作る。  ただし、ロイだけはあまりにも便利(暗殺はもちろん、その他雑用をさせるのに)だったので、好みの年齢から過ぎてしまっても手元に置いている。 ◎注意  こちらの作品は、1985年〜2002年までの間、作者が参加していたサークルに掲載していた物の一つです(掲載時期は前半だったはず)。  海外ドラマ沼にハマる前(とゆーか予兆?)時代に、西海岸物へのアコガレと、ティーンエイジの情熱のみで書かれた作品ですので、色々ビミョ~な部分は生温い目で流してください。  こちらの作品は、ベースがBL(主人公であるロイは、アレックスが好き)ですが、NL(ハリーは妻帯者)要素も含まれます。  BLに女性キャラはいらぬと思っていらっしゃる方には、全く向きません。  作者がこれを執筆していた年齢とか、掲載していたサークル誌への気遣い(?)とかイロイロあって、濡れ場はありません(匂わせ程度は有り)。  軽微な暴力表現と、欠損表現が含まれます。  表紙絵は葵浩様。  フリースペースに、サイトのリンクを貼ってあります。

大江戸ロミオ&ジュリエット

佐倉 蘭
歴史・時代
★第2回ベリーズカフェ恋愛ファンタジー小説大賞 最終選考作品★ 公方(将軍)様のお膝元、江戸の町を守るのは犬猿の仲の「北町奉行所」と「南町奉行所」。 関係改善のため北町奉行所の「北町小町」志鶴と南町奉行所の「浮世絵与力」松波 多聞の縁組が御奉行様より命じられる。 だが、志鶴は父から「三年、辛抱せよ」と言われ、出戻れば胸に秘めた身分違いの恋しい人と夫婦になれると思い、意に添わぬ祝言を挙げる決意をしたのだった……

処理中です...