ダンナ様はエスパー？

第4章 まさかの奇跡…

２４

「あなたが奥さんを助けたいと思うのなら…
　何があっても、揺らがない心と、包容力！
　これがあったら、おそらく解決の糸口が、見つかると思うわ」
　その同僚は、ニッコリと笑い、
「がんばれ、未来のお父さん！」
久志に向かって、ピースサインを作ってみせた。
　なんだって…と思うけれど、彼には言い返すことが出来ない。
すでに自分の母親が居座って、彼女を困らせているからだ。
何かうまい方法がないか…
そんな彼を待ち受けていたのが、灯里は倒れて運び込まれた、
という一報だった。


「どうした、大丈夫か？」
　どうにか仕事をやっつけて、タクシーを飛ばして、病院に駆け付けた
時には、すでに家に帰った、というすれ違いの知らせだった。
ホッと胸を撫でおろしたけれど…
それでもまだ、本人を見ないことには安心が出来ない。
今度はまた、あわてて別のタクシーを呼んで、家に帰ると…
洗濯物を畳む、いつもの姿が目に入った。
「アカリ！そんなこと、しなくていい！　
　寝てなくて、大丈夫か？」
あわててタオルをひったくると、
「あら、もう大丈夫なのに」
思いのほかスッキリとした顔で、クスクスと笑う。
「どういうことだ？」
　さっきまで、死ぬほど心配していたのだ。
自分の最悪の想像…
入院して、手術している所に、いあわせる…とか
医者に告げられる言葉…
とか、覚悟していただけに、ガクリと肩を落とす…
「ホント、あわてんぼうのお父さんねぇ～」
人の心配にも気付かずに、のん気な顔で、笑う彼女を見て…
一気に力が抜けた。
どういうことなんだ？
本当に、大丈夫なのか？
久志は目を丸くする。
そういえば…あの人が、どこだ？
「母さんは、どこなんだ？」
どうしていないのか、理解が出来ず、久志は家の中をフラフラと
探し回った。