ダンナ様はエスパー？

第3章 彼は無敵なダンナ様！

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　考えてみれば…このお隣さんだって、十分厄介なキャラであるのには、
変わりがないのだ。
だがさすがの灯里も、本人を目の前にして、そこまでは口には出せないでいる。
「そうですねぇ」とだけ言うと、
何も言わせないで、スルリとドアの内側に引っ込んだ。
呆気に取られて、口をポカンとあけたままのお隣さんを、目の端で
チラリととらえると、
（いっそのこと…このままここを、引っ越しちゃう？）
一瞬そう思った。
　だが…せっかく手に入れたマンションだ。
ここに来るまでに、2人は賃貸とか、貸家とか、郊外の不便な場所とか…
見て回って、ようやく手に入れた自分たちのお城だ。
まだ新築のピカピカの家だけど…
（このままだと、お姑さんに、また乗り込まれてしまう！）
さすがに危機感を覚えるのだった。
まさか久志さんと結婚ということは、もれなくお姑さんが
付いて来るわけ？
それはイヤだ…と思う。
（いっそのこと、そうなる前に、先手を打って、ここから引っ越すのよ！）
そう思ったけれど…
さすがにそれは、自分の一存では決められない、と灯里は
そう思う…

でも、もしもそうしたら、どんな顔をするのだろう？）
一瞬それが、とんでもなく名案だと思ったけれど、
（ダメよ！あの久志さんが…内緒でそんなことをしてくれるワケが
　ない…）
すぐに思い直すのだった。
　昨日は、灯里のことをかばってはくれたけれど…
もともと久志は、親思いの孝行息子だ。
彼らを困らせたり、泣かせるような真似は、絶対にしない、と
灯里はそう確信した。
そう思うと、その思いつきも、いっぺんに色あせて…
すっかりあきらめムードに。
なんだかんだ言っても、久志は案外、お義母さんのことを
大切に思っている…
それだけは、誰にも負けないくらい…
そんな優しいところを、好きになったのだけど…
お姑さんに負けている、と感じると、何だかちょっぴりやきもちを
やいた。