111 / 140
第5章 すべては夢になりにけり
23
しおりを挟む
「ガラスの靴?」
その人は、ジュンヤからこのワードを聞くとは思わなかった…と、
驚いて顔を上げる。
「ガラスの靴が、どうしてここにある、と思うの?」
穏やかな声で、聞き返す。
わずかに、眉間にシワが刻まれている。
探るようにして、彼はジュンヤを見ている。
(この人は…もしかして、何か知っているのか?)
その瞬間、ジュンヤはそう確信していた。
「ボクたち…あの靴の魔法で、この世界に連れて来られたんです」
素直に、本当のことを彼に伝える。
(きっと…信じてはくれないだろうな)
ジュンヤは、半ばそうあきらめていたのだけれども。
「キミ、もしかして…魔法使いのおばあさんと、知り合いなの?」
思いがけず、その男はにこやかな顔をして聞いてくる。
「えっ?」
だが、思った反応とは、まったく違う。
ジュンヤは思わず、言葉を詰まらせる。
その人は、まるで旧知の知り合いに会った…というような顔をして、
「じゃあ、もしかして…この子は、エラの娘?」
柚に目をやると、微笑みながら聞いてきた。
「エラ?」
それって、誰の事?
ジュンヤはさらに、呆気に取られて、柚を見下ろす。
柚はまっすぐに、男を見ると
「もしかして、ママのこと?」
丸い目をして、そう聞く。
「ママ?」
どういうことなんだ?
すっかりジュンヤは混乱して、柚と男のことを、見比べていた。
その人は、ジュンヤからこのワードを聞くとは思わなかった…と、
驚いて顔を上げる。
「ガラスの靴が、どうしてここにある、と思うの?」
穏やかな声で、聞き返す。
わずかに、眉間にシワが刻まれている。
探るようにして、彼はジュンヤを見ている。
(この人は…もしかして、何か知っているのか?)
その瞬間、ジュンヤはそう確信していた。
「ボクたち…あの靴の魔法で、この世界に連れて来られたんです」
素直に、本当のことを彼に伝える。
(きっと…信じてはくれないだろうな)
ジュンヤは、半ばそうあきらめていたのだけれども。
「キミ、もしかして…魔法使いのおばあさんと、知り合いなの?」
思いがけず、その男はにこやかな顔をして聞いてくる。
「えっ?」
だが、思った反応とは、まったく違う。
ジュンヤは思わず、言葉を詰まらせる。
その人は、まるで旧知の知り合いに会った…というような顔をして、
「じゃあ、もしかして…この子は、エラの娘?」
柚に目をやると、微笑みながら聞いてきた。
「エラ?」
それって、誰の事?
ジュンヤはさらに、呆気に取られて、柚を見下ろす。
柚はまっすぐに、男を見ると
「もしかして、ママのこと?」
丸い目をして、そう聞く。
「ママ?」
どういうことなんだ?
すっかりジュンヤは混乱して、柚と男のことを、見比べていた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
妻のち愛人。
ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。
「ねーねー、ロナぁー」
甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。
そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる