シンデレラの娘たち

daisysacky

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第5章 すべては夢になりにけり

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「ガラスの靴?」
 その人は、ジュンヤからこのワードを聞くとは思わなかった…と、
驚いて顔を上げる。
「ガラスの靴が、どうしてここにある、と思うの?」
穏やかな声で、聞き返す。
わずかに、眉間にシワが刻まれている。
探るようにして、彼はジュンヤを見ている。
(この人は…もしかして、何か知っているのか?)
その瞬間、ジュンヤはそう確信していた。
「ボクたち…あの靴の魔法で、この世界に連れて来られたんです」
素直に、本当のことを彼に伝える。
(きっと…信じてはくれないだろうな)
 ジュンヤは、半ばそうあきらめていたのだけれども。

「キミ、もしかして…魔法使いのおばあさんと、知り合いなの?」
思いがけず、その男はにこやかな顔をして聞いてくる。
「えっ?」
だが、思った反応とは、まったく違う。
ジュンヤは思わず、言葉を詰まらせる。
その人は、まるで旧知の知り合いに会った…というような顔をして、
「じゃあ、もしかして…この子は、エラの娘?」
柚に目をやると、微笑みながら聞いてきた。

「エラ?」
 それって、誰の事?
ジュンヤはさらに、呆気に取られて、柚を見下ろす。
柚はまっすぐに、男を見ると
「もしかして、ママのこと?」
丸い目をして、そう聞く。
「ママ?」
どういうことなんだ?
すっかりジュンヤは混乱して、柚と男のことを、見比べていた。
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