シンデレラの娘たち

daisysacky

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第1章 ママの秘密

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 パパが一階に下りたら、そこでゲームオーバー。
これは、かくれんぼなのよ、と柚は自分に言い聞かせる。
もうやめよう…と思わないわけではなかった。
でも、なんであのボロボロの布を、タンスの隅に隠しているのだろう?
柚の好奇心の方が、勝ってしまった。
 じぃっと口を手で押さえて、ただひたすら、パパが廊下から引っ込む
のを待つ。
何だか、みんなに見つからないようにと、じぃっと木の陰に隠れている時
みたいだ…
そう思っていると、ようやくパパがあきらめたように、柚の部屋へと
引っ込んだ。
(もう…パパってば!)
きっと、柚が部屋に戻るのを、待つつもりのようだ。

 そろりそろりと、段を上り、パパに見つからないように、身体を縮めて、
ドロボーのように、音を立てないようにして、あのママのタンスのある部屋
へと向かう。
(ママがお風呂から出たら、アウトだ!)
心臓をドッキンドッキンとさせながら、足音を立てないように歩く。
柚の部屋のドアから、見えないようにと、虫にでもなったような気分で進み、
どうにか、ママの部屋へとたどり着く。
 キョロキョロしながら、誰もいないことを確かめると、スルリと中に
すべり込んだ。
(ママ…まだ、来ないよね?)
そう自分に語りかけると、何とか冷静になろう…と、思った。
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